RGB(赤・緑・青)蛍光体を紫外線で励起することでフルカラーを得る【UV LED +R/G/B 蛍光体 方式】のμUV LEDディスプレイは、原理的にはプラズマディスプレイと共通なので、従来の色変換工程技術が応用できます。
実際に、波長385nmのUV-LEDで3色の蛍光体を励起することで、ディスプレイに十分な発光効率を得られることを検証しました。ディスプレイ化にあたっては、セルの形状、材質、封止樹脂、蛍光体の塗布方法等、様々な検討が必要になりますが、弊社では、UV-LEDのチップサイズをマイクロ化した時の出力低下を抑える技術を開発しており、μLEDディスプレイの実現に向け、取り組んでいます。
検証方法
波長385nmのUV-LED(型番:NS385L-3SVR)を使用し、UV-LED単体と、三菱ケミカル社製のRGB蛍光体シートをUV-LED光源の直上に固定した場合の、全放射束及び各色の放射束を測定し、フォトルミネッセンス効率(紫外線で蛍光体を励起した場合の各色の発光効率)を導出しました。
・UV-LED (型番:NS385L-3SVR) 光出力:970mW(IF:500mA) EQE:60.0% |
NS385L-3SVR(Al基板に実装) |
・赤色蛍光体【(SrCa)AlSiN3:Eu】 ・緑色蛍光体【SiAlON:Eu】 ・青色蛍光体【(Sr,Ba)10(PO4)6Cl2:Eu】 |
NS385L-3SVRの直上にRGB蛍光体を固定し、放射束を測定
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RGB蛍光体のフォトルミネッセンス効率と電力変換効率(WPE)
波長385nmのUV-LED(型番:NS385L-3SVR)単体及び3色のシートを用い照射した時の積分球測定結果を下記の表1及び図1に示します。
50mA通電時に、全放射束値:93.9mW(電力変換効率:59.3%)のNS385L-3SVRを用いた場合、RGB全ての蛍光体において、高いフォトルミネッセンス効率と、電力変換効率は20%以上であることを確認しました。特に、赤色蛍光体の「電力変換効率:22.4%」は、現状のGaN系赤色LEDの「外部量子効率(EQE):4.6%」と比較し、はるかに高い効率であることが分かります。
- 表1:385nmUV-LEDと各色蛍光体を使用時の測定結果
赤(R)蛍光体 | 緑(G)蛍光体 | 青(B)蛍光体 | |
全放射束[mW] | 47.9 | 42.2 | 48.0 |
各色放射束[mW] | 35.5 | 33.9 | 41.8 |
フォトルミネッセンス効率 (各色への変換効率[%]) | 43.4 | 39.5 | 47.6 |
電力変換効率 (WPE[%]) | 22.4 | 21.4 | 26.4 |
- 図1:300nm-900nmまでの各波長測定値でのスペクトルグラフ