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ナイトライド・ストーリー

Chapter 108

私は、政治には中立を貫いている。だから、どこの政党を応援することもないが、明らかに何かが誤っていると感じれば、言わなくてもいいことも言わざるを得ない。

まず、アベノミクス失敗という言葉だが、そもそも経済発展が国の政策で何とかなるなら世界中の国が豊かになっている。そこにはオリンピック同様、インチキでは何ともならない実力主義があり、強い者が勝つという自然界のルールが存在する。日本の景気が悪いのは、日の丸企業がマイナス金利という政府の異次元支援にも関わらず競争力を回復できていないということで、責めるべきは企業の方だ。

次に、消費増税先送りに関して、先送りを正当化する理由が見当たらない。確かに、景気が冷え込んだ状況で増税すれば消費が更に悪化することは避けられないが、増え続ける借金を返済できなくなるリスクとどちらを優先すべきだろう。先送りする場合、少なくとも2年間財政健全化が遅れた分の利息が上積みされるわけだから、その分が補填できる説明が要る。企業の経営でも同様の決断を迫られる場面がある。金利分は僅かだからと経費削減等のリストラをせず、金融機関からの繋ぎ融資で延命しようとする会社は潰れる。なぜなら、1円でさえ削減できない会社は100円の削減は絶対できないし、沈み始めた船の1円の価値は、船が安定している時の1円の価値と異なるからだ。

確かに、今、世界経済は絶不調と言える。しかし、この先2年間で復活するという楽観的な予測をする者はいない。なぜなら、この不況は世界的構造不況であり、昨日まで頼みだった中国でさえ日本化したと言われる状況で、一体、今後、どのようにして少子高齢化が極端に進行し、企業の競争力が低下した日本に経済発展が期待できるのだろう。先送りするというギリギリの決断をする前に、しなければならないギリギリの決断が沢山ある。

その一つは規制緩和だ。今や米国や新興国で発展する白タクベンチャーのウーバーは、日本では規制が厳しく発展できない。民泊もしかり。こういう新産業育成を疎かにして経済発展はあり得ない。増税先送りも、規制緩和先送りも、目先の痛みを先送りし、傷を悪化させることにしかならない。既存業界の反発は当然あるだろうが、経済波及効果を考えれば、新産業育成を重視するというギリギリの決断があってしかるべきだろう。

これらと同じように、少子高齢化解消を新生児にだけ頼るのは無理がある。海外から若者を積極的に受け入れるような開放政策が必要だ。海外から夢と希望を持って日本にやって来る若者にチャンスを提供する。シリコンバレーがシリコンバレーたる所以は、誰もが、シリコンバレーに行けば成功できるかもしれないという漠然としたイメージがあるに過ぎない。シリコンバレーで成功する多くは白人ではなくマイノリティーだ。実際には、日本でベンチャーを起業するよりも遥かに厳しい生存競争があって、それ程厳しい競争に勝ち残らなければ、あれ程の成功はあり得ないのだなと気付かされるだけだ。

今の日本は居心地が良すぎる。まるで世界の競争とは無縁であるかのようだ。しかし、その居心地の良さは身の丈に合わない膨大な借金によるものだと気付かなければならない。一度、借金をチャラにして、ブヨブヨに弛んだ体を鏡に映したらわかる。

平成28年06月03日

消費増税延期に思うこと

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