Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ニュース

2003/04/08 「地方の独創企業 半導体の開発 「大学発」で研究を重視」(日経産業新聞)

地方の独創企業 徳島県鳴門市 徳島大学発の半導体ベンチャー企業、ナイトライド・セミコンダクター(徳島県鳴門市)は従来の10-20倍の出力がある紫外線発光ダイオード(LED)デバイスを開発した。樹脂の接着効果を引き出す光源として広く工業利用されている紫外線ランプに代わる新しい光源として注目されており引き合いはすでに100社を超えた。徳島県内で上場が最も近い有力企業として注目されている。
新開発のLEDは波長が370ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の紫外線を使うのが特徴で、白色を出すのにRGB(赤緑青)蛍光体の素子を組み合わせる必要はない。ランプに比べ電源や配線を含めた機構の大きさは20分の1以下、消費電力と発熱量はそれぞれ約10分の1で済む。高出力タイプでは直径8ミリのデバイスに12個のLEDチップを実装、出力は紫外線ランプに匹敵する20ミリ-30ミリワットを実現した。

ナイトライド・セミコンダクター 半導体の開発

同社の村本宜彦社長は「近い将来、汚れを分解する光触媒を使った空気清浄機や超薄型のフルカラーディスプレー、さらには患部を蛍光体で光らせて治療するバイオ医療の分野で利用が見込める」と有望な市場性を強調する。今月から出荷を始め、業績は2000年4月の設立以来、4年目の2004年3月期に黒字転換を見込む。
発祥は徳大の窒化物半導体研究所。同研究所が文部省のベンチャー支援事業の認定を受ける際、1999年4月に地元のニュービジネス協議会に事業化を打診したのが産学連携の始まりだった。当時、村本社長は協議会の事務局長を務めていたが、徳大の半導体研究の権威、酒井士郎教授を技術顧問に迎え、みずから会社をつくった。
村本氏は日本ガイシの広報室に勤務後、1990年にイベント会社を設立するなど、起業には興味があった。だが、技術分野の経験がなく事業の中身は未知の窒化物半導体。社名のナイトライドは窒化物の意味だが、設立前後は半導体技術をイロハから学ぶ苦労を味わった。
大学発で研究を重視 技術陣も試行錯誤を繰り返した。紫外線LEDはサファイアを基板に窒化ガリウムの発光層を重ねる構造だが、窒化物はガリウムにどうしても載せにくい。1日24時間三交代制で研究に没頭し、1ナノメートルの精度で窒化ガリウム、さらには窒化ガリウムとインジウムの極薄の層を重ね合わせるパターンを幾通りも用意し、光の波長や出力を確認した。
「純粋な民間出資のベンチャーだったら目先の利益追求に走ったかもしれない。だが、大学発という学究的な雰囲気がじっくり研究に取り組む風土をつくった」(村本社長)。こうして会社設立から8ヶ月後の2000年12月、波長350ナノメートルで出力0.01ミリワットの試作品を発表した。
このとき他社製品は波長が395ナノメートルと長いが、出力は3ミリワットとナイトライド社製の300倍を実現していた。0.01ミリワットは弱すぎて、当時紫外線LEDの唯一の実用化分野といわれた自動販売機などの紙幣判別装置にさえ使えない。
だが、市場の反応は予想外に大きかった。350ナノメートルという他社にはない短波長に内外の半導体メーカーが強い興味を示し、100社以上にサンプルを出荷することになった。
「最初は会社説明会で参加企業に増資引き受けを頼んでもみんなに断られたが、このサンプル出荷で見る目が変わった」(村本社長)。内外のベンチャーキャピタルはじめ、東京海上火災保険や丸紅などの大企業も出資に応じ、資本金は設立当初の2千2百万円から7億5千百万円に膨らんだ。
事業資金は潤沢になったが、成果が問われるのは高出力タイプの出荷が始まる4月以降。当面は紫外線ランプの代替品として市場を獲得できるかが焦点だ。


【会社概要】

▽本社
徳島県鳴門市瀬戸町明神字板屋島115-7
▽社長
村本宜彦(むらもと・よしひこ)
▽電話
088・683・7750
▽売上高
5000万円(2003年3月期見込み)
▽従業員数
23人
▽事業内容
窒化ガリウム半導体を使った紫外線発光ダイオード(LED)の開発、製造、販売
BACK TOP NEXT

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.