Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ニュース

2007/8/27 「紫外線LEDは水銀ランプ代替からディスプレーや照明へ用途開拓」(週刊ナノテク)

ナイトライド・セミコンダクター(株)(徳島県鳴門市)は、世界で最初に紫外線LEDの量産技術を確立し、発光効率の向上と、水銀ランプ代替の製品開発、さらに紫外線LEDの新たな用途開拓に取り組んでいる。同社は、徳島大学の酒井士郎教授の技術を事業化するため、2000年4月に創業。高性能な製品のラインアップ化と、自ら開拓した市場の拡大により、07年3月期に初めて経常利益を計上、事業を軌道に乗せ、ビジネスモデルを創出した。さらなる研究開発を進めるため、今後、10億円以上の研究開発費を調達する目標である。そこで、紫外線LEDの事業と技術、将来にわたる用途開発の状況などについて、同社の村本宜彦代表取締役にお話を伺った。

ナイトライド・セミコンダクター(株)代表取締役村本宜彦氏に聞く

-事業概要からお聞かせ下さい。
村本:創業7期目で黒字化したが、これは、水銀ランプに代わる紙幣識別機用、光触媒や空気清浄機向け用途への新規提案、イルミネーション用途の新製品といった事業活動が実ってきたためだ。製品はGaNウエハー、波長355nmから5nm刻みで375nmまでの各紫外線LEDウエハー、ベアチップ、ランプを用意、この春にはチップを複数搭載し、主に樹脂硬化用途を想定した高出力モジュールを、またコンパクトな実装を実現するSMDタイプを発売した。
-市場を開拓されたわけですね。
村本:紙幣では、円は磁気で識別するが、ドル、ユーロ、元、その他海外の紙幣も蛍光インクを含み、紫外線で識別する。また、紫外線照射の樹脂硬化方法は、被膜、印刷インク、プリント配線基板がさらに用途が拡大、それぞれ巨大市場が控えている。
一方、水銀ランプに比べ、紫外線LEDは長寿命で省電力、光量の安定性や温度制御性で優れている。
さらに、環境意識の高まりから水銀全廃という流れは確実であり、水銀レスの紫外線光源の早期普及が期待される。水銀ランプの代替だけでなく、新用途の可能性がある。
-どういった用途ですか。
村本:蛍光アクリルを用いて、無限の色調、自由な形状の発光を実現するイルミネーション「ライムライト」は好評であるが、紫外線LEDは、室内照明やディスプレー用光源の可能性もある。
照明は、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた疑似白色LEDが使われ始めているが、赤みが多く、温かみのある白色LEDを実現するには、紫外線LEDとRGB蛍光体の組み合わせが最有力と考えている。ディスプレーは、英国の大学がPDAやゲーム機などのマイクロディスプレー用光源として、研究を始めている。
-紫外線LEDの技術について。
村本:紫外線は波長380nm以下で発光効率が急減少し、GaN系のバンドギャップが365nmであるため、さらなる短波長化には、AINを利用し、発光層にAlInGaN系の四元混晶を用いる。
380nm以下の急激な効率低下の原因と対応技術の一例は、活性層の組成不均一の増大、結晶転移の影響には、高温SIN中間層、低温GaNPバッファ層による大幅な転位密度低減、発光層組成不均一性増大のためのGaドロップレット層と呼ぶナノサイズ領域創製などにより、我々は375nmで10mW、365nmで5mWと、いずれも量産で世界最高出力を記録している。
-資金調達について
村本:さらなる技術開発、製品応用には10億円以上の費用が必要で、VCから調達する方法もあるが、開発資金を必要とする企業に一般投資家が将来性にかけて投資し、企業はその期待に応えるという、本来の株式上場の姿を示してみたいという思いがある。

週刊ナノテク

(聞き手/倉知良次)

村本宜彦(むらもとよしひこ)
1985年慶応大学法学科卒業。同年日本ガイシ(株)入社。90年イベント企画会社設立、96年徳島ニュービジネス協議会設立、常務理事兼事務局長、2000年4月より現職。
BACK TOP NEXT

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.