ナイトライド・ニュース
徳島大から生まれ、紫外線発光ダイオード(LED)の量産に、世界で最初に成功した半導体ベンチャー「ナイトライド・セミコンダクター」(鳴門市)が、紫外線LEDの特徴を生かした生鮮野菜保存用ライト=写真上=と、金属の探傷用ライト=写真下=の二つの新製品を売り出した。業界をリードし続ける同社の村本宜彦社長は「紫外線LEDの有用性をアピールして、用途を拡大させたい」と意気込んでいる。
紫外線は電磁波の一種で、波長は1~400ナノメートル(ナノは10億分の1)。同社は01年、世界で最も出力の高い紫外線LEDを発表した。その後も紫外線LEDのチップ、ランプ、照明器具などを世に送り出している。
今回、新しく開発した生鮮野菜保存用ライトは370ナノメートル前後の波長の紫外線を放つ。この光は植物には影響を与えないが、レタスなどの鮮度維持に役立つことが分かった。実験では同じ条件で保管したレタスの切り口の変色が抑えられたという。また、肌や目に悪影響のある有害紫外線は含まれないので、人体には影響がない。
スーパーマーケットの売り場や大型冷蔵庫の中での使用を想定し、従来の蛍光灯と同じ大きさにした。アルミ製のヒートシンクで熱を効果的に冷却することで、1万時間以上の長時間の耐久性を持たせた。20ワットタイプが5万円、40ワットタイプが8万円。
金属の探傷用のブラックライトは、375ナノメートルの波長の紫外線を出す懐中電灯型のライトだ。
最近のジェットコースターの脱線事故などの原因となった金属疲労の傷を探すのに威力を発揮する。現在、法律で義務付けられている探傷検査には、特殊な薬品を塗って紫外線を当て、変色する傷部分を探す方法が一般的だ。その際、大型のブラックライトを現場まで運んで検査をしなければならなかったが、このライトは乾電池でも動くため、狭い場所でも簡単に検査できる。
紫外線LEDの数の違いで、14個使用が8610円、45個使用が2万1840円(いずれも税込み)。
同社は00年の会社創設後、しばらくは初期投資などがかさみ、赤字を背負ってきたが、今年3月期に初めて黒字を計上。紙幣識別メーカーと共同で開発した専用の紫外線LED光源の量産にもめどがつき、3年後には累積赤字を一掃する勢いだ。