ナイトライド・ニュース
ナイトライド・セミコンダクター(株)(徳島県鳴門市瀬戸町明神字板屋島115-7、TEL088-683-7750)は、紫外線LED(UV-LED)のリーディングカンパニー。競争が熾烈な半導体業界において、同分野は新規参入が相次ぐなど、近年競争が特に激化している。そのなかで同社もソウル半導体との連携強化や、世界最高クラスのLED面発光製品の開発など様々な動きを見せている。代表取締役の村本宜彦氏に伺った。
14年度は売上高倍増を計画
―――直近の動向から。
村本 近年のUV-LED分野は、市場拡大を予測する調査結果が発表されたことなどにより、台湾・韓国・中国といった海外メーカーの新規参入が相次いでいる。しかし、実際の市場の伸びは限定的であったことから、2013年度は価格競争がこれまで以上に激化し、当社としても厳しい状況が続いた。また、12年度下期に設備投資を実施したことによる償却負担増や、研究開発費が増加したことなども業績を押し下げる要因となった。―――そのなかで取り組まれたことは。
村本 以前より関係があった韓国ソウル半導体グループとの連携を強化したことが挙げられる。これは当社のUV-LEDの構造ならびに製法に関する特許をソウル社が無償で独占的に使用することを許諾。その見返りとして、ソウル社の製造品を当社が優先的に供給を受けるというものだ。これにより当社が苦手としていたハイパワー製品のラインアップが強化されたことに加え、コスト競争力が大幅に高まった。
ソウル半導体と連携強化(左:村本、右:ソウル半導体のリー会長)
―――開発面について。
村本 2月に世界最高クラスのUV-LED面発光に成功し、4月からサンプル供給を開始している。13年夏ごろからNEDOの支援を受け開発に着手し、上下に電極を形成する1.05mm角のVチップを銅製基板上に高密度実装する方法を採用することで、高出力と優れた放熱特性を持つチップ開発に成功したものだ。同じ出力の紫外線ランプと比較すると大幅なサイズダウンが可能であり、周辺部品も簡素化できることから、装置のトータルコストとしては現状と同じレベルが実現できると考える。半導体露光装置や産業用光源に用いられる紫外線ランプからの置き換え用途を見込んでいる。
―――そのほかの開発品は。
村本 当社では、UV-LEDで赤、緑、青の3色の蛍光体を励起し、白色を再現するRGB方式の白色LEDを以前より開発していたが、最近になりサンプル提供の依頼など引き合いが徐々に増えている。そのほか、UV-LEDの基本的な性能向上にも注力しており、16年度までに出力性能を13年度比1.5倍、コストを4分の1にすることを目指している。―――14年度について。
村本 当社が強みのある紙幣識別用UV-LEDのさらなる拡販に加え、ラインアップを強化したハイパワー製品を樹脂硬化やUVインク硬化といった用途で伸ばしていきたい。販売範囲に関しても、ウェハーやチップ、パッケージ製品だけでなく、照射器や生産ラインといった分野まで幅を広げており、UV-LED関連であればどんな製品でも提案・供給できる体制を築いた。14年度は13年度からの反転攻勢の年と捉えており、売上高は前年度比2倍を計画している。―――今後の抱負を。
村本 先にも述べたが、現在のUV-LED市場は大手企業も含め参入数が増加しており、これまでのように先行者利益だけで事業展開できる市場ではなくなった。加えて、政府間協議INC5に基づいて水銀に関する水俣条約が締結され、20年以降、水銀の製造・貿易が制限されることとなった。これにより紫外線ランプがUV-LEDに置き換わる方向が明確になり、市場動向はさらに激しさを増していくだろう。そのなかで当社としては、ソウル社との連携強化をはじめ、あらゆる施策を実行し、高性能でありながらコスト面でも対応できる体制を整備。UV-LEDに関して、あらゆるニーズに応えることができる体制を構築した。その体制を活かし、「世界初のUV-LEDメーカー」から「世界一のUV-LEDメーカー」へと飛躍を遂げるべく、今後も事業を拡大していきたい。