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ナイトライド・ストーリー

Chapter 101

先月開催されたLED JAPAN 2015の講演は、お陰様で追加公演も立ち見になる大盛況で終えた。ご来場いただいた皆様に心より御礼申し上げる。昨年、青色LEDがノーベル物理学賞で沸いたアカデミックな分野と異なり、ビジネスフィールドではアジアとの厳しいコスト競争に晒され、日本のLED業界は、撤退、縮小というニュースが多くなった。私は青色LEDが全盛期の2000年当時から講師としてお声掛けいただいているので、この15年間の技術とビジネスの変遷がよくわかる。2000年当時、500名以上収容するホールがどこも満員御礼、白色照明は未だ夢のまた夢のような状況だったが、LED産業が日本のお家芸ということもあって様々な業種の参加者が集まった。学会も同様で、国内で頻繁に応用物理その他様々な学会が開催され、徳島大学にも多くの研究者が集まった。

あの当時を彷彿(と)させる活気が戻ったような感じさえあった。100章というストーリーの節目に環境がガラッと変わったことは、あまりにも出来過ぎた偶然である。15年前に記述した運命としか言いようのない大きな流れを感じる。まさにホームランボールが飛んできたような出来事だ。ただ、私としては、周りの熱狂とは裏腹に、従来通り、球場に足を運び、ひたすら応援するだけのことであり何ら変わることはない。

私が今最優先課題としているのは、UV照射装置のコスト削減である。今やUV-LEDの価格は技術革新で大幅に下落した一方、電源や、照射器の筐体、ヒートシンクといった材料の占めるコストは変わらないので、照射器コストの8割以上を占める。LEDを売っているのではなく、周辺材料を売っているような状況なので、白色照明器具と同じように規格化することで大幅にUV照射器の値段を安くできると考えている。白色照明器具が1万円以下で販売されるのと同様、数が出ればUV照射器も1万円以下にできる。

私は、市場規模600億円と言われるUVランプ代替市場、更にはUVランプを使用する露光装置、樹脂硬化装置関連市場の主導権を握るのは、UVランプメーカーや露光装置メーカーではない可能性があると考えている。彼らは経済学者クリステンセンのジレンマに陥っており、ビジネススタイルを大きく変化させることを躊躇している。UVランプという危険で扱い難い虎を飼い慣らすことで付加価値を得てきた文化は、子供でも安全に飼える子猫を飼う文化と違い過ぎる。彼らが、それに早く気づいて思い切った経営方針の転換を図ることを願う一方、これらの分野に関して専門的知識を持たないが先入観も持たない照明メーカー、電機メーカーが主導権を握るチャンスでもある。

3Dプリンター同様、安価な超小型露光機、超小型樹脂硬化装置が出現し、従来のように莫大な設備投資による少品種大量生産方式から多品種少量生産に産業が移行するかもしれない。家庭でデジカメ写真をプリントする感覚で、子供の持ち物にUVインクプリンターでカラフルに名前やイラストを描く時代が来るかもしれない。

大きく時代が変わる節目にいることは間違いない。

平成27年11月11日

潮目が変わった

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