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ナイトライド・ストーリー

Chapter 102

パリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は196カ国・地域が参加する地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を採択した。今後、石油・石炭など化石燃料に依存しない社会を目指す。

世界的な異常気象を見れば、温暖化防止に取り組む労力とコストが、今後起こりうる自然災害、干ばつ、飢饉といった悲劇に伴う労力とコストに比べれば遥かに安くつくことは想像できる。新興国にしてみれば先進国が1世紀以上にわたって無意識に排出してきた二酸化炭素のツケを一緒に払わされたのではたまらないが、人口比で遥かに上回る新興国が今のペースで温暖化ガスを排出すれば、恐ろしい事態が訪れることは想像できる。

エジソンの発明以来1世紀以上灯りとして利用された白熱電球は、火を燃やすことで灯りを得る黒体輻射の原理に近いので、幅広い波長スペクトルを含み、演色性が高く価格が安いため、今でも多くの家庭で使われている。

その後登場した蛍光灯は、放電によって水銀原子から放出される波長254nmの紫外線で蛍光体を励起する量子輻射の原理で白色光を得る。蛍光灯による日焼けを恐れる女性はいないが、お店に並ぶ洋服は日焼けする。

LEDも量子輻射の一種で、p半導体とn半導体のサンドイッチ構造で電子とホールの再結合によって発光する。光の波長は組み合わされる材料が、周期律表の下の行に属する原子同士であれば長波長、上の行に属する原子同士であれば短波長になる。LED開発の歴史は波長の長い赤外線から波長の短い紫外線へ時代と共に変遷してきた。

白色LED照明は、青色LEDと黄色の蛍光体を組み合わせて疑似白色光を得る。赤色の成分が不足しているため、太陽光より青みがかった白色になる。白色という表現より無色という方が的確かもしれない。太陽光は光の存在を感じさせない。LEDが省エネ、長寿命、価格が安くなったとはいえ、味わい深いムードを演出したいときはローソクの炎や白熱電球に敵わないのはスペクトルに欠落があるためである。赤色の蛍光体を加えたり、赤色LEDを加えて、この赤色を補う製品もあるが、無色とは程遠い。

疑似白色LEDの欠点を補うのが、UV-LEDを使った白色LEDである。UV自体は見えないが、赤、青、緑の光の3原色の蛍光体を励起して太陽光に近い無色が得られる。弊社は、2010年シアトルで開催されたSociety for Information Display(SID)で、この原理の白色(太陽光)LEDを発表している。

既に書いた通り2020年までに水俣条約に於いて水銀を含む製品の製造と輸出入の禁止が決定している。COP21の取り決めは、産業用では適用を除外された紫外線ランプの使用を間接的に制限することになる。

弊社は、照射距離が150mを超える2種類のUV-LED投光器を製品化した。白色照明の共用部品を使うことで大幅にコストも下げた。UV-LEDを売りまくって天命を果たしたい。

2種類のUV-LED投光器

2種類のUV-LED投光器

平成27年12月14日

COP21に思うこと

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