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ナイトライド・ストーリー

Chapter 143

フィリピンを初めて訪れた。 国立熱帯医学研究所(RITM)及び仙台医療センター・ウイルスセンターの3者で、蚊の特性を調べ、感染症予防の研究をするためである。 フィリピンと言えば、ドテルテ大統領の過激な発言や、麻薬戦争、デング熱といったマイナスのイメージが強く、国民一人当たりのGDPが3000ドルしかないので、ビジネスで訪れる機会はまずない。 今回は、怖いもの見たさと、ウイルス研究の西村秀一先生も、ご一緒していただける機会だったので、旅行者保険を通常の2倍掛け、宅急便が届かない可能性があると、30キロの重い実験設備持参で訪問した。 結論から申し上げれば、そんな心配は全くの杞憂で、日本の食品の放射能汚染を心配する外国人と同じレベル(笑)。 首都マニラではなく、近郊都市だが、立派な高層ビルが立ち並び、近年の発展は、一帯一路構想の中国マネーに依るところが大きい。 一方、国立熱帯医学研究所は、日本の国際協力機構(JAICA)の支援で設立され、鉄筋コンクリートの建物と医療機器、実験器具等の設備が重宝されていた。

フィリピンは熱帯気候で、一年中蚊がいるが、現地の人はあまり気にしていない。 それが、マラリア、デング熱等、蚊が媒介する感染症が多い理由だが、特に、今年はデング熱が猛威を振るい、10万人もの患者が感染し、非常事態宣言が出ている。 もし、UV蚊取り器MOSPUREを、感染症予防に役立てることができれば、何にも勝る支援になる可能性がある。 デング熱は、ヒトスジシマ蚊という日本でもよく見かける蚊を媒介して感染する。 そこで、日本の蚊に有効なMOSPUREが、フィリピン生息の蚊にも通用するかが、最初の興味だった。 RITMでは、蚊を養殖しており、予め用意されたゲージの中に蚊が正確に450匹入っていた。 これらは、砂糖水を栄養源として養殖した蚊なので、安全である。 場所柄、建造物2階の研究室でも、蟻が砂糖を求めて侵入してくるので、それを防ぐための仕掛け等、蓄積したノウハウが随所に見られた。 個人的に興味深かったのは、孵化したばかりの蚊は、飛び方がフラフラしていたのに、時間を経るに従って、どう猛になり、死ぬ間際、血を求めて襲い掛かってくる様は、正に断末魔のあがきという風で面白かった。 血を吸うのはメスだが、ゲージの中では、血が吸えないので、飢えて死んで行く。 オスも、砂糖水を与えなければ死ぬ。

UV蚊取り器は、UV-LEDの光と光触媒の発する二酸化炭素で、蚊をおびき寄せ、ファンで吸引、捕獲するため、化学薬品等を一切使用せず、安全である。 共同研究なので、研究の詳細や成果をお話することはできないが、MOSPUREが、1立米のゲージ内の450匹の蚊を、たったの1時間でほぼ捕獲し、現地の研究者を驚かせた。 これは、光の波長、二酸化炭素、形状、風速といったすべての要素が、蚊を捕獲するために最適化されているためで、市場に出回る、似かよった製品とは全く異なる性能を発揮することを証明した。 今後、感染症を防ぐために更なる改良を加え、現地の人々の健康と、安全を守ることができればと念願する。

450匹ほぼすべてを1時間で捕獲

450匹ほぼすべてを1時間で捕獲

令和元年08月07日

蚊による感染症を防ぐ研究

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