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ナイトライド・ストーリー

Chapter 175

マイクロUV-LEDチップの高効率化特許技術が欧州と米国で成立した。マイクロLEDディスプレーは、アップル社が有機ELに次ぐディスプレーとして、自ら開発に乗り出したことで、開発が活発になった。LEDのサイズ100μm以下がマイクロLEDとされていて、身近な例を挙げると、小麦粉の粒子径は5μmから130μm。肉眼では粉にしか見えないLEDチップを、回路基板上に赤、青、緑の各LEDを1素子ずつ実装して画素を形成する。この画素がフルカラーを発することで映像を描く。マイクロLEDディスプレーの特徴は、高エネルギー効率、高精細、高輝度、高速応答、高コントラスト、長寿命、広い色度の表示範囲といったすべての性能で従来のディスプレーを上回る。大型TVをマイクロLEDディスプレー化するメリットはないので、今後、ARグラス、VRグラス、フレキシブルディスプレーといった用途で、応用開発が進むだろう。ハリウッド映画「ミッション・インポッシブル」で俳優トム・クルーズがかける透過型眼鏡のようなもので、フルカラーの高精細映像が楽しめるようになる。そうすれば、スマホはいらなくなる。ディスプレーが小さいので、消費電力も少なくて済む。従って、大きく重いバッテリーは不要になり、充電を気にしなくて済むようになる。また無機材料なので、耐久性が高く、夏の車内や炎天下の高温環境でも使用できる。

マイクロUVチップのメリットは、3色のLEDを並べる方式では、赤色LEDは、ガリウムP系化合物、青色LEDと緑色LEDが、InGaN系化合物と、材料が異なるため、流す電流と電圧が異なる、特に赤色LEDは、マイクロチップ化すると発光効率が低下してしまうだけでなく、機械的強度が不足して割れ易い。小麦粉サイズのLEDを回路基板上に移し替えることをマストランスファーというが、こんな微細なチップを色毎に基板上に半田付けすることは困難であり、できても時間が掛かる。そこで、チップをUV1種類にすれば、マストランスファーは1回の転写で済む。じゃあ、色はどうするかと言えば、例えば、昔のブラウン管カラーTVは、RGB蛍光体に電子線を当てた。また、液晶に負けたプラズマ・ディスプレーも、放電で得た紫外線をRGB蛍光体に当ててフルカラーを得た。液晶TVは、液晶自体は発光しないので、後ろにバックライトがあり、影絵のように投影するが、これでは、有機ELのように自発光の高いコントラストが得られない。マイクロUV-LEDディスプレーは、マイクロUV-LEDでRGB蛍光体を発光させることでフルカラーを得る。従って、LED TV程のコントラストは期待できないが、製造工程を大幅に簡略化でき、蛍光灯やTVで半世紀以上の歴史がある蛍光体技術を応用することができる。

今後、特許は、アジアでも成立の見込みで、東北大学未来科学技術共同研究センターの後藤哲也教授と㈱ブイ・テクノロジーは、更に先を見越してフレキシブル基板上のシリコン単結晶CMOSピクセル回路チップでLEDを駆動する画期的な研究開発を進めている。研究成果は、第28回International Display Workshop 2021で12月2日に発表される。

小麦粉の細かい粒子径に近い12μm×24μmのマイクロUV-LEDチップ

小麦粉の細かい粒子径に近い
12μm×24μmのマイクロUV-LEDチップ

令和3年10月20日

マイクロUV-LEDの特許欧米で成立、開発を加速!

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