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ナイトライド・ストーリー

Chapter 216

Spainバルセロナで講演した。研究の節目として半年に1回ペースで講演することを目標にしているが、今回は1時間の長丁場且つ基調講演だったので緊張した。Wave equationsという理論物理学(ほぼ数学)との共催だったので聴講者がわかり易く理解できるよう周期表を持ち出して、ⅲ属原子とⅤ属原子の組み合わせで化合物半導体が構成され、結晶欠陥との闘い、組成揺らぎといった非常識な振舞いを解明することでLEDの短波長化が進んだことを説明した上で、現在、我々が取り組むマイクロチップ化とナノサイズ加工でフォトニック結晶の研究が進んでいることをイラストやイメージを多用して説明した。Wave equationsの講演者の資料は数式のみで、原爆の父と呼ばれた「オッペンハイマー」の映画に出てくる黒板一杯の数式の羅列が目の前で展開されて、こういう研究があることに感心した。応用物理学とは隔たりが大きいと伝えたところ、理論物理学は非常に近接した関係にあると言っていた。理論を解明する研究とその理論を実際の現象で再現する研究は、車の両輪の関係にあると説明してくれた。2014年日本にノーベル物理学賞の栄冠をもたらした青色LEDの研究は、日本の科学技術力の高さを示すものとなったが、現状、日本の科学技術力の低迷ぶりは想像を絶する状況にある。海外で講演して、日本の研究者と顔を合わせる機会は極端に減った。大部分を中国人の研究者が占め、欧米の研究者がちらほらといったことが多い。トランプ政権は、米国の大学の研究予算を大幅に削減するようなので、この傾向は一層強まりそうだが、経済で勝つためには研究で勝つ必要がある。対GDP債務比率が100%を超えて上昇しているのは懸念材料だが、支出を抑えるのは研究分野以外にした方がいい。日本は対GDP債務比率が300%を超える異常な国だが、米国債1兆米ドルの最大保有国である。つまり、日本が借金をして米国の財政を助けている。台湾は早々に米国債を売却しているが、日本も早いとこ売った方がいい。サバイバル能力の低さが命取りに成り兼ねない。やり過ぎる米国と何もしない日本は両極端に映る。日本の失われた30年は、明らかに米国の圧力に屈した日本政府の失政だが、唯一米国生産等自助努力で生き残った自動車産業がトランプ大統領の餌食になろうとしている。日本政府がこれを止めなければ日本は終わる。就任当初は辣腕に期待したが、結局止められないウクライナ、ガザの紛争に加えてパレスチナ問題まで加わって失望感が広がっている。米国の経済力の源泉はベンチャー企業にある。マスク氏や民主党から共和党に鞍替えしたGAFAmが今後もトランプ大統領を支持し続けるとは思えない。「レンガ袋より○○」と見切りをつけた天才たちの今後の動向が楽しみだ。 我々の周りは未解明な現象に溢れている。5年前に人類を襲った新型コロナウイルスと107年前に世界の人口の3分の1を死に追いやったスペイン風邪。1世紀の時を経て人類が対抗手段としたのは隔離という無策。未だに科学技術の進歩は戦争や疫病を止めることができない。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、「私は敵に打ち勝った者より自身の欲望に打ち勝った者を勇敢だとみなす。なぜなら、自分に勝つことが最も難しい勝利だからだ」と言った。この言葉をトランプ大統領に送りたい

スペイン風邪の最中に着工し、100年以上を経て建設中のサグラダファミリア教会

令和7年5月8日

自分ファースト(エゴの時代)

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