Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ストーリー

Chapter 49

弊社の第10期定時株主総会が昨日無事終了した。これで2期連続の増収増益ということで、リーマンショック後の厳しい経済情勢における技術、製品の差別化の重要性を認識した。ちなみに、ユーザーの約半分は海外である。今期も引き続きこの基調は変わらないと思われるが、アジア製と日本製の性能差が縮小する昨今、独自性をいかに発揮し、維持していくかが生き残りの鍵と言える。

ビジネスのこのような厳しい競争は、サッカーW杯の中にも見てとれる。開催前、勝てないとファンから見放された岡田ジャパンが1次リーグを突破し、景気が低迷する日本に夢と勇気を与えた。残念ながらパラグアイには惜敗したが、負け方が次を期待させる負け方だったことも、後になって冷静に考えると素晴らしい。よく出来た映画が続編に期待を抱かせるのと同じだ。

今回のW杯では、イングランド、イタリア、フランスといった欧州強豪勢の1次リーグ敗退という異常事態が起きている。サッカーの世界においても国、選手どうしの実力が伯仲しつつあるらしい。従って、有名選手を豊富に擁しているからと油断していると、手痛い一撃を食らうことになる。日本は、個々人の能力は高くなくても、戦い方によっては強い敵に勝てることを証明した。

勝ち進んだチームには共通点がある。それは、予選でチームが不調だった若しくは有名選手が代表から落選したことである。前者の代表アルゼンチンは、予選ではマラドーナ監督の解任が騒がれる程勝てなかった。また、後者の代表ブラジルは、天才ロナウジーニョが代表に選ばれなかった。ブラジルの最近のサッカーは明らかに昔と違う。個人技に頼ることなく、組織的に守り攻める。そもそも個人技の優れた選手にこのような組織力が備わると隙は見当たらない。

勝負の世界で最も重要なことは観察力だ。人間は悲しいかな、偏見に満ちている。選手にも好き嫌いがある。勝負に勝ちたいならば、偏見のない素直な目で現実を観察し、最適な選手で、敵に合わせた最適な戦術を練る必要がある。

北京五輪で怪我の選手ばかりでまともに戦えなかった星野ジャパンもそのような過ちを犯したが、勝負は時の運ではなく必然と言える。いずれにせよ、練習試合4連敗で、岡田監督以下選手も吹っ切れたのだろう。人間追い込まれると火事場の馬鹿力が出るもので、本戦では選手にイマジネーションが感じられ、プレーに躍動感が生まれた。特に大きく変わったのはボールを出す方向。それまでは横方向、それも味方選手の足元に出す無意味なパスが多かったが、本戦では、奪ったら即縦方向、それも敵の裏に出して、ボールを追っかけるシーンが多くなった。ボールの支配率は落ちたが、ゴールを脅かすシーンは増え、相手の反則を誘った。カメルーン戦では、松井が逆サイドゴール前に大きく振ったボールを本田が落ち着いて決めた。

パラグアイ戦では、明らかに敵の方が身体能力、技術とも上回り、ボールの支配率も高かったが、120分間互角に戦った。しかし、PK戦ではイマジネーションが足りなかった。この辺が今の日本の限界というところか。

サッカーでは、日本は新興国だが、経済では先進国だ。最近の日本経済は、正にW杯で1次リーグ敗退の欧州強豪といった印象だ。個々の選手の能力が高い筈なのに、勝てない理由は何か。

答えは簡単イマジネーションが足りない。携帯電話が売れないのに、新規参入して馬鹿売れしているiPhone、PCマーケットが飽和状態なのに予約待ちのiPadが勝つためのヒントを与えてくれる。情けないことにこれらを真似した製品がこれから続々登場するらしいが、そんなところに待ち受けているのは価格競争だけだ。各企業が自社の強みを生かし、アイデアを練れば道は開ける。他社の後追いが儲からないのは、携帯電話、液晶TVで経験済みだ。過去にも、ソニーのウォークマン、PS、任天堂のWiiにはアイデアがあった。

くれぐれもUV-LEDに参入しようなどといった愚かなことは考えないで欲しい。それは冗談だが、今回は10年という節目の株主総会を機に、W杯岡田ジャパンの健闘を讃えつつ、元気のない日本経済へのエールのつもりで感じたことを述べさせて頂いた。

平成22年7月1日

W杯岡田ジャパンご苦労さま!

<< PREV | INDEX | NEXT >>

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.