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ナイトライド・ストーリー

Chapter 58

リビアのカダフィ大佐の退陣がいつかは時間の問題だが、国家元首の肩書が企業で言えば部長クラスというのも面白い。若干27歳の青年将校だったカダフィが無血クーデターによって実権を掌握し、尊敬するエジプトのナセル大統領が陸軍大佐だったので、自らも大佐を名乗ったとされる。この事実ひとつ見ても、カダフィの人心掌握術のうまさを垣間見ることができる。若いカダフィが自ら国家元首を名乗れば廻りの反感を買い、国家元首を狙う者に反逆者のレッテルを貼られて抹殺された可能性が高い。高々中尉に過ぎなかった青年将校が、どのようにして実権を掌握していったのかは、リーダーシップという観点からも大変興味深い。

憲法さえない国において41年間にも渡って実質的国家元首として君臨できた理由は一体何だろうか。ころころ交代を繰り返すどこかの指導者たちも、カダフィの爪の垢を煎じて飲んだらいいと思うが、単に武力による恐怖政治で、逆らう者を粛清したということでは説明できない。即ち、国民は満足はしていなかったかもしれないが、他の誰かが国家元首になるよりも若いカダフィの方がましと認めていたのだ。彼が、そうするなら仕方ないと多くの人を納得させる強烈なカリスマ性を備えていたに違いない。


確かに、先進国の価値観からは、独裁的に武力で押さえつける非人道的方法は容認し難い。パンナム機爆破事件やパレスチナ解放機構(PLO)を支援したことからテロ国家扱いを受けているが、国を結束するために仮想敵国をでっちあげるのは常套手段だ。産油国とは言え、文字の読み書きさえろくにできない大多数の貧しい国民をまとめるのは容易ではない。先進国が、アフリカの裸族に、人道的支援と称して服や家電製品を贈るのは笑い話だが、民主主義を理解しない人々に民主主義の押し売りをするのも同様と言える。知らぬが仏という言葉は、英語にも”Ignorance is a bliss”という言葉があり、アラブ語でも同様の言葉があるかはわからないが、知ることによって不幸を感じることが多い。

今後、民主化が進むアラブ諸国で、必ずしも民主化したことで生活が豊かにならなかったという失望感が広がり、また軍事独裁に逆戻りという事態も想定されるが、石油基地として重要なアラブが政治的に不安定になることは、先進国にとってはあまり好ましくない。日本は、これら新政権に対して、公平な立場で支援の手を差し述べていく必要がある。


IT革命は、好むと好まざるとに関わらず、世界中の人々に情報を伝えてしまう。その情報は、都合がよい場合もあるが、都合が悪い場合も多い。量販店で安いと思ってデジカメを買って喜んでいたら、ネット通販でもっと安い店を発見して、不愉快になったなんてことは日常茶飯事になった。確かに便利にはなったが、本来、IT技術の発達は、人を幸せにするためにある筈だ。統計的に人は収入が増えれば増える程、不幸と感じる割合が高まることが証明されているが、ウィキリークス問題でも触れた通り、ITの発達が必ずしも幸せに繋がらないケースが増えた。

本当にITが人を幸せにするためには何が必要なのかを考えれば、あなたはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグをしのぐ億万長者になれるかもしれない。皆で、フェイスブックに足りないものは何かを考えよう。

平成23年3月10日

カダフィ大佐から学ぶこと

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