15年度は分岐点の年に
ナイトライド・セミコンダクター(株)(徳島県鳴門市瀬戸町明神字板屋島115-7、TEL088-683-7750)は、紫外線LED(UV-LED)の開発に世界で初めて成功したパイオニア企業だ。2000年の設立から今年で15周年を迎え、14年度は過去最高の業績を記録した。代表取締役の村本宜彦氏に話を伺った。
――――直近の動向から。
村本
近年のUV-LED市場は、台湾・韓国・中国など海外メーカーの新規参入が相次ぎ、価格競争が激化した。特に13年度は当社も厳しい状況が続いたが、韓国のソウル半導体グループと連携し、製品ラインアップや生産体制を強化したほか、価格戦略でも思いきった施策を実施した。そうした取り組みで14年度は反転攻勢の年となり、売上高は過去最高を記録した。
――――用途別では。
村本
主力である紙幣識別用用途UV-LEDの需要が好調に推移したことに加え、樹脂硬化などに使用されるハイパワー製品も販売が増加した。このハイパワー製品は、先に述べたソウル半導体グループと連携したことにより強化できた部分である。また、紫外線ランプ用途での引き合いも増えつつある。20年の水銀全廃を決議した水俣条約において、紫外線ランプは例外として適用を免れてはいるが、消費電力や廃棄物などを考慮し、環境意識の高い企業はすでに取り組みを始めている印象だ。
――――開発面での取り組みは。
村本
16年度までにUV-LEDの出力性能を13年度比で1.5倍、コストを同4分の1にすることを目指し、現状でもその目標値に近い性能をすでに実現している。例えば、1.4mm角チップを1個搭載した3.5mm角のパッケージ製品では、出力1150mW(波長365nm)を実現。チップを4個搭載した6.8mm角のパッケージ製品では出力5000mW(波長365nm)を実現している。違った面からの開発アプローチとしては、基板にサファイア以外の材料を使用する研究開発も進めている。
――――製品群について。
村本
当社はUV-LEDに関して、ウエハーやチップ、パッケージ製品だけでなく、照射器などの機器製品や生産ラインの販売にも対応でき、照射器の販売については確実に伸びている。また当社ではUV-LEDで赤、緑、青の3色の蛍光体を励起し、白色を再現するRGB方式の白色LEDを以前より開発している。照明用として高い演色性を実現でき、純粋な白色を再現できることが特徴だが、発光効率が低いこととコスト面で課題があった。しかし、改良を少しずつ進めたことで、それらの点も改善されつつある。
――――今年度の位置づけは。
村本
冒頭にも述べたが、近年のUV-LED分野は海外メーカーの新規参入が相次いだ。しかし、ここにきて性能面などで顧客が求める水準に応えられるメーカーは、当社を含め限られた企業のみとなってきた。15年度は今後のUV-LED市場の主導権を握るための分岐点と考えており、当社の特徴である優れた出力性能やコストパフォーマンスの高い製品を提供することで、顧客の信頼を勝ち得ていきたい。
――――今後の抱負を。
村本
当社は00年に世界初のUV-LEDメーカーとして創業し、今年で15周年を迎えた。UV-LEDは、赤、青、緑、そして白色も出せ、化学反応も起こすことができる究極のLEDである。将来的にはUV-LEDが照明分野を含め、あらゆる分野に応用され、すべてのLEDがUV-LEDに集約されると考えている。そういった世界の実現に向け、15年をかけてようやくスタートラインに立ったという気持ちであり、15年間種をまき、育ててきた果実をこれからしっかりと刈り取っていきたい。