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ナイトライド・ストーリー

Chapter 141

「ディスプレー用µUV-LEDチップ」が半導体オブ・ザ・イヤーのデバイス部門優秀賞を受賞した。 10年前にも頂いたが、未だに同製品は売れ筋なので、審査の的確さに感心する。 ただ、今回はグランプリを狙っていたので悔しい。 現状の客観的評価という観点では、グランプリ受賞者スマホ用半導体の雄クアルコムに対して勝ち目はないが、今後、ディスプレー以外にも、露光機、医療機器その他さまざまな分野で活用され、人々の暮らしを豊かにすれば、評価も変わってくるだろう。

さて、水銀全廃を取り決めた水俣条約の期限2020年まで、残すところ半年だが、依然、水銀ランプからUV-LEDに切り替わる兆しはない。 波長275nmの10mW程度の殺菌用のUV-LEDの価格でさえ、今や1ドルを切った。 これだけ下がれば、家電製品にも応用してもらえそうなものだが、一向にそのような気配はない。 それどころか、未だにコストが10円以下の安い青色LEDを使って「除菌脱臭機」という製品が出てくるような有様。 名称からしても、弊社の「殺菌消臭器」を意識していることが伺える。 LEDPUREは275nmの殺菌線で殺菌するが、この製品は、殺菌できる機構を持ちあわせていない。 更に、フィルター交換不要としているが、光触媒は、有機物を分解後、水と二酸化炭素以外に副生成物が発生する。 化学式を組めば高校生でも理解できるが、副生成物はフィルターに蓄積するので、洗浄するか焼却するかの方法で取り除かなければ、光触媒の表面が覆われ分解効果を失う。 これらは化学がわからなくても、常識でわかる。 そもそもUVでない可視光型光触媒が、如何ほどの分解力を発揮するか不明。 消費者自身が、家電製品に対して正しい知識と判断力を持つことが重要と感じる。 大企業の製品だからと、宣伝コピーを真に受け、詐欺まがいの商品を掴まされないようにしなければならない。

民主主義、自由主義というのは、国から余計な干渉を受けずに、自由に経済活動ができる素晴らしいイデオロギーだが、一方で、車の燃費、排ガス、部品強度の偽装等、次から次へとインチキがあからさまになる。 ただ、こんな事は些細な事に過ぎないと思える怪しい情勢になりつつある。 ポピュリズムの進展、米中の貿易戦争に代表される保護貿易主義、EUの崩壊、移民、露、イラン、北朝鮮と地政学リスクが急激に高まっている。 米国の庇護の下にある日本は、バブル時、自動車、半導体摩擦で、親分が「気に入らない」と宣(のたま)へば、「御意(ぎょい)!」と、リゾート法で総国民骨抜きになって忠誠ぶりを示したが、今や米国と肩を並べる強国中国はそうは行かない。 行き過ぎた貿易戦争が本当の戦争にならないことを祈る。 今回のトランプ、安倍会談で、約束された最新鋭F35戦闘機100機の購入程度で「守ってもらえる権」が手に入るなら、安い買い物と言えるが、そう甘くない。 むしろ、憲法改正して、「購入した100機で戦え」ということになり、米国に都合のよい本土から遠く離れた不沈空母と位置づけられ、日中の歴史的経緯もあり、集中砲火は免れない。 本気で殿ご乱心の米国につくのか? 習金平政権は理性的なので戦争はないと思いたいが、太平洋戦争で過ちを犯した唯一の被爆国として、現憲法を尊重し、断固戦争には中立の立場を維持することが最善と考える。

受賞のディスプレー用µUV-LEDチップ・デモ機

受賞のディスプレー用µUV-LEDチップ・デモ機

令和元年05月30日

受賞と危うい世情

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