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ナイトライド・ストーリー

Chapter 212

招待講演でスイス、ベルンに行ってきた。フォトニック結晶µLEDへの関心が強い。スイスは永世中立国とは言え美しいアルプス山脈上空を戦闘機が爆音を轟かせて飛び交う。中立を維持するためには強力な軍隊が必要という皮肉がある。スイスの豊かさの理由は国土の狭さと効率にあると映った。日本のように4つの島を道路、橋、鉄道を繋げてそれに伴う水、電気、通信環境を提供すればお金がいくらあっても足りない。アルプス山脈の北側は高速道路が通っているが、南側のレマン湖からチューリッヒへ向かう険しい山道にはガードレールのないワインディングロードが美しい景色に溶け込んでいた。007シリーズ等、多くの映画、TVのロケで使用される山道は冬場通行止めになる。日本にもこういう割り切りが必要だと感じた。山、海底をくり抜き、次から次へ新しい橋を渡すのではなく、無理なくできるところで留めておく。日本に戻って、さび付いた道路脇のガードレールや鉄橋の橋脚を見て、こういう無駄が日本には多いと感じた。崖から落ちたら死ぬと思えば運転も慎重になる。運転はあくまでも個人の責任であり、ガードレールを設置しなかった行政の責任ではない。一方で取り締まりが厳しいのには驚いた。レンタカーのナビにスピード制限が表示されて音と表示で警告するだけでなくオービスが光って罰金の請求が日本まで来た。また、ホテルの駐車場所がわからなかったので路上のパーキングメーターにフラン硬貨を投入せずに30分程度駐車しただけで切符を切られた。(パーキングメーターが集中管理されている)軽微な違反は車窓に張られた指示書に従ってスマホ画面に入力すれば罰金はカードで決済でき点数は引かれない。更に驚いたのは、コンビニの駐車場でバックして道路に戻ろうとしたら車に警告された。私有地内でも一方通行が制限、管理されている。また、レンタカーを空港駐車場に返す時、違うフロアに駐車しようとして警告が出た。これらのシステムは警察や管理者の人員及び経費の削減と同時にきめ細かい速度制限や管理を可能にしている。日本は相変わらず決まった場所のオービスと移動式オービスで時代遅れの対応をしている。2000年当時、ネット普及の遅れを指摘されたが、明らかにインフラ管理システムでも後れを取っている。スイスは決してこの手のインフラ管理システムの最先端を行っている国ではないが、もはや日本は平均的なレベルにも達していないということだろう。

さて、韓国ではユン大統領のご乱心で大騒ぎだが、英国、フランス、ドイツ等欧州主要各国も政治が不安定になっている。保護主義で強硬な姿勢を見せる共和党トランプ候補の勝利、欧州で勢力を伸ばす極右政党の流れは、明らかに20世紀前半の第一次世界大戦前の様相と酷似している。各国が自国優先に走る背景には、自由主義社会を守る大義の下、ウクライナ、イスラエル、シリアといった紛争地域への支援や難民の受入に努めた各国が、支援疲れに陥りつつあること示している。1989年ベルリンの壁崩壊で東西冷戦は終結したが、世界平和が訪れるという理想は叶わなかった。35年が経過し、結局、戦争は終わらないという現実にどう向き合うのか?真剣に考えないといけない時期に来た。

ガードレールは必要最小限のスイスアルプスのワインディングロード

令和6年12月09日

じれる国民

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