ナイトライド・ニュース
半導体ベンチャーのナイトライド・セミコンダクター(鳴門市、村本宜彦社長)は従来の10-20倍の出力がある紫外線発光ダイオード(LED)デバイスを開発、4月から出荷を始める。直径8mmのデバイスに12個のLEDチップを実装。広く工業利用されている紫外線ランプに匹敵する出力20mm-30mmワットを実現することで、家電など広範囲での利用が可能になる。
従来の紫外線LEDは出力が1.5ミリワットと小さいため、自動販売機などでの紙幣判別装置程度の利用しか見込めなかった。高出力タイプは紫外線ランプにとって代わるだけでなく、光に反応して汚れなどを分解する光触媒を使った空気清浄機や低電力で超薄型のフルカラーディスプレーなど家電・情報分野、患部を蛍光体で特定、治療するバイオ分野などへの利用が見込めるという。
従来のLEDデバイスはチップを複数個実装すると、熱で出力が低下する難点があったが、ナイトライド社はデバイスの基板に熱伝導率の高い材料を使い、冷却フィンも取り付け、放熱しやすい形状に加工した。さらに紫外線を効率よく反射する機構も搭載し、出力低下を防いだ。
樹脂の接着効果を引き出す光源として工業利用されている紫外線ランプは半導体の保護に使うレジスト膜の形式だけでなく、光ファイバー同士の接続などに幅広く利用されている。同社によると、すでに内外の100社以上の企業から引き合いがきており、出荷をバネに2003年度の上場を目指す。