ナイトライド・ニュース
ナイトライド・セミコンダクター(株)(徳島県鳴門市瀬戸町明神字板屋島115-7、TEL 088-683-7750)は、2000年4月に徳島大学との産学連携で設立され、世界で初めて350nmの高効率UV-LEDの開発に成功したベンチャー企業である。
10年5月には、RGB方式の白色LEDの開発を発表し、国内外から注目を集めた。代表取締役の村本宜彦氏に話を伺った。
―――10年度について。
村本 10年度は、売上高、利益とも増加した。これで3期連続の増収増益となった。主力の紙幣識別機用をはじめ、電子部品やネイルなどの樹脂硬化用、UVインクの硬化用で堅調に伸びた。特にインク用は引き合いが活発だった。11年度に入ってからも堅調に推移しており、前年に続いて増収増益を見込んでいる。―――製品別の売り上げについては。
村本 紙幣識別機用が売り上げの60~70%を占める。そして、樹脂硬化やインク硬化といったUVによって硬化・乾燥・接着を行うUVキュア用、光触媒による空気清浄機用、この3つのカテゴリーが当社の柱となる分野である。そのほかには医療分野の分析機器向けへの販売なども行っている。地域別では、国内向けが50%、海外向け50%となっており、10年度は中国、欧州向けが増加した。
―――白色LEDにも取り組まれていますね。
村本 紫外線LEDで赤、緑、青の3色の蛍光体を励起し、白色を再現するRGB方式を開発、製品化した。技術的関心は高く、国内外の企業から引き合いが来ている。液晶のバックライトや照明向けに優れた特徴がある。液晶向けには現在、3LED方式と青色LEDベースの方式があり、それぞれに色のバラつきや色再現性が低いといった欠点がある。また照明向けの青色ベースの白色LEDは演色性の問題がある。紫外線LEDは蛍光体自体が発光するので色の分離が発生せず、色のばらつきが少ない。また、NTSC100%という高い色再現性を実現している。照明用としては、Ra90以上の高い演色性を保有している。効率が低いことが短所であるが、現時点では約80ルーメン/Wまで可能な段階に来ている。
量産化については、当初は10年11月ごろからを考えていたが、市場動向などを考慮し見送った。また最近、青色LEDの価格が急激に下がっており、対抗するにはコスト面で課題があると考える。具体的には、20~30%下げる必要があると見ている。そのため、11年度はコストを下げつつ、一方で性能をさらに上げる開発に注力する。量産化は、今後2~3年でタイミングを見計らってということになるであろう。
―――新製品について。
村本 表面実装タイプの紫外線LED「NS375M-CPLY」を開発し、サンプル出荷を始めている。従来品に比べ、出力を2倍に高めた。同時に価格は半分程度に抑えることに成功している。メーカーの採用度合いにもよるが、11年度下期には月産10万~20万個体制で量産に入りたいと考えている。ナイトライド・セミコンダクター
2000年4月に徳島大学との産学連携で設立され、世界で初めて350nmの高効率UV-LEDの開発に成功。01年に波長375nm、370nm、365nmの3UV-LEDを発表した。紙幣識別機用を中心に電子部品などの樹脂硬化、UVインクの硬化、光触媒に空気清浄機への用途で採用されている。10年度は増収増益を達成。全般的に堅調に伸び、特にUVインクの硬化用途が拡販した。地域では中国・欧州への販売が伸長。11年度も増収増益を見込む。
10年5月にRGB方式の白色LEDを開発した。紫外線LEDで赤、緑、青の3色の蛍光体を励起し、白色を再現する。液晶のバックライトや照明への用途が中心となる。液晶向けは、蛍光体そのものが白色を発光するので色分離を起こさず、NTSC100%と高い色再現性を実現するのが利点。照明ではRa90以上の高い演色性で蛍光灯とほぼ同様の光を再現できるメリットがある。
11年4月に表面実装タイプの紫外線LED「NS375M-CPLY」を発表した。従来品比で出力を2倍に向上し、価格は約半分に抑えた。チップの発光効率を高めて発生する熱量を抑え、セラミックを使用せずにアルミ基板上に直接25個のチップを実装した。これにより高出力と低コストを両立。波長375nmで出力900mW/300mAを実現している。