Chapter 103
あけましておめでとうございます。
さて、世界的に景気が怪しくなりつつあるが、悪い時期の後は必ず良くなるのでそうなってから慌てなくて済むよう準備することが重要だ。父は勉強嫌いな私達兄弟の顔を見るたびに「泥棒を捕まえてから縄を綯(な)っても遅い」と笑顔で優しく言った。弊社のような弱小ベンチャーが未だにUV-LEDでビジネスできるのは、他に先んじたことに尽きる。父の慈愛に満ちた説教に感謝しなければならない。
世界経済は生産の停滞により、燃料、資源価格が低迷。中国経済は実態が不透明なので、予測することは困難だが、バブル(過剰投資)の後遺症が当分続くだろう。原油と資源価格の下落は生産者にとってはフォローなので悪いことばかりではない。
誕生から20年以上経った青色LED産業も、鉄鋼その他の産業と事情は同じ。中国で総数数百台(正確な数字は不明)と言われるMOCVD結晶成長装置(それも最新式)が本格稼働し、供給過剰によって価格が大幅に下落した。
中国のLEDメーカーは、単に日本の技術を模倣して生産しているのではなく、フリップチップ、上下電極構造は言うに及ばず、日本メーカーがさじを投げたシリコン基板上に結晶成長する技術さえ実現しつつある。これらを主導しているのは先進国で最先端の教育を受けた中国人と、日本、台湾、韓国から流出したエンジニア。これらの会社の事業採算が合っているかが最大の関心事だが、大部分がバブル時に受けたベンチャー投資なので、市場原理が働くとすれば、FOMC利上げの影響もあって再編が進む可能性がある。
有機ELがスマホのディスプレイとして普及し始めたが、有機ELの普及は液晶のバックライトとして使用されるLEDが不要になること、そして、近い将来、照明分野に於いてもLEDを脅かす存在になることを意味している。
UV-LEDは、今のところ中国の影響はないが、そもそも、実現不可能と言われながら始めた事業なので、厳しくなっても事情はさほど変わらない。少なくともUV耐性の低い有機材料でUVを発光することは難しいので、有機ELと勝負になることはない。
今年からCOP21の決議に基づいて全電力会社へ温暖化対策が義務付けられる等、環境規制は更に厳しくなる。製造過程で大量に消費される水銀ランプをなくし、消費電力を大幅に削減する。
正しいことをやり続ければ道は自ずと開ける。
今年も皆様のご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
平成28年 地球温暖化対策元旦
正しいことをやる