ナイトライド・ニュース
【徳島】徳島県の産学協同ベンチャー、ナイトライド・セミコンダクター(徳島市、村本宜彦社長)は光の波長が350ナノ(1ナノは10億分の1)メートルと短く、光の出力も実用化ればるとされる0.1ミリワットの紫外線発光ダイオード(LED)を他社に先駆けて開発した。
短波長でエネルギーの大きな紫外線LEDは微量化学物質の検知用光源など様々な分野への応用が見込まれている。
1月下旬から用途開発の共同研究を条件にサンプル品を他社に無料提供し、同分野で先頭を走る日亜化学工業(徳島県阿南市、小川英治社長)を追撃する。
開発した紫外線LEDはサファイア基板に窒化ガリウムの結晶を積層したタイプ。
その製造工程でアルミニウムを含ませることにより350ナノメートルの短波長を実現したという。
従来、アルミを含ませるとLEDの波長が短くなることは確認されていたが、その結果光の出力が低下するという課題があった。
ナイトライドは積層構造、アルミの含有量、温度管理などを工夫することで、この課題を解決した。
サンプル品の光出力は0.1ミリワットだが、「技術的には利用範囲を大きく広げる1ミリワットの出力を確保するメドをつけている」(村本社長)という。
紫外線LEDは短波長で焦点を合わせやすいため、微量化学物質の検知や照明装置の光源のほか、例えば体内埋め込み式がん治療装置の光源など先端医療分野への応用などが考えられている。
同分野では日亜化学工業が波長370ナノメートル出力1ミリワットタイプの製品を商品化して先行しているが、ナイトライドは「製法などが違うので既存の特許には抵触しない」と見ている。