ナイトライド・ニュース
急成長が見込まれる窒化ガリウム系ウエハーなどの量産を目指す徳島県の産学協同ベンチャー、ナイトライド・セミコンダクター(鳴門市、村本宜彦社長)の増資計画に、米有力投資会社カーライル・グループが応じ、3億円強を投資したことが21日明らかになった。ナイトライドの今回の増資は来年中の株式公開に備えた公開資金の確保と財務体質の強化が狙い。カーライルが将来性を評価し投資したことで公開準備にも弾みがつきそう。
カーライル・グループの日本での第二号投資案件になる。ナイトライドの増資はベンチャーキャピタルなどを引受先にした第三者割り当て方式で実施され、一株当たり発行価格は400万円、発行新株数は125株。調達総額は5億円で、21日が払込期日だった。カーライルは運用するファンドで81株を引き受け、3億2,400万円を投資した。
カーライル以外では東京海上火災保険などが追加出資しており、この結果、カーライルの運用ファンドの持ち株比率は7.5%となり、筆頭株主の村本社長や東京海上などに続いて第5位の株主になった。ナイトライドでは調達した5億円の内、半分を資本金に組み入れる予定で、増資後の資本金は7億5,100万円。
ナイトライドの設立は2000年4月。次世代の青紫色レーザーに適した半導体材料として注目される窒化ガリウム系ウエハーの量産技術を開発した徳島大学の酒井士郎教授を技術アドバイザーに迎え、徳島県の経済界などが後押しする形で発足した。
年明けから鳴門市の本社工場を拠点にして韓国の半導体ベンチャー向けに青色発光ダイオード(LED)用の窒化ガリウム系ウエハーを量産出荷する計画になっており、その生産が軌道に乗った段階で、今年初めに独自開発した紫外線LEDも国内外向けに量産する方針だ。
紫外線LEDは微量化学物質の検知用光源など様々な分野への応用が見込まれており、その海外市場を開拓する際などにもカーライルの投資先ネットワークが強みになってきそう。カーライルの日本法人では今回の投資について「技術面などを評価した」と話している。
▼カーライル・グループ
ファンド規模は米国でもトップクラスにランクされ、日本での第一号案件として今秋に非対称デジタル加入者線(ADSL)サービスを手掛けるイー・アクセス(東京・港区)に投資している。