ナイトライド・ニュース
【徳島】半導体ベンチャーのナイトライド・セミコンダクター(徳島県鳴門市、村本宜彦社長)と徳島大学は、交流駆動型の発光ダイオード(LED)を開発した。直流電気で光るLEDを交流で使う場合、同時に交流から直流への切り替え装置が必要だったが、これが不要になりコストを削減できる。LEDを利用した照明器具の耐用時間の延長にもつながる。
開発した交流駆動型LEDは複数の発光素子を直列に接続した二つの回路をそれぞれ逆向きの電流で作動するように、一つの基盤に実装したもの。一定の周期で電流の向きが交互に変化する交流電流の特性に合わせた。
ナイトライド社がLED研究で知られる徳大窒化物半導体研究所の酒井士郎研究室の協力を得て開発、特許を申請した。技術供与したソウル半導体(ソウル市)が今夏から量産を始める。
試作品の基準の大きさは1ミリメートル角で、両者はこれに20個の素子で構成する回路を二つ組み込み、交互に効率よく光らせることで肉眼で明暗の点滅を感じない安定した連続光を実現した。ソウル半導体は素子の接続や回路の実装などで量産技術を使い、低コスト生産を可能にした。
これまでLEDを交流の家庭用電源などで使う場合に必要だった直流切り替え用のコンバーターが不要になる。コンバーターによるエネルギーロスがなく、LED照明などのセット価格を1-2割程度下げることができる。耐用時間もLEDの連続5万-8万時間に対し、コンバーターは同1万時間程度と短く交換が必要だったが、LEDの寿命いっぱい使い続けることができるという。
ソウル半導体は当面、交流駆動型LEDを1ワットあたり20ルーメンの明るさを持つ小型電球の代替品として日韓を含む世界市場で拡販する。2006年は40ルーメンの白熱電球、07年は60ルーメンの蛍光灯の代替を目標に掲げている。
ナイトライド社は00年4月設立の徳大発ベンチャー。紫外線LEDを使った紙幣判別機を開発し、自動販売機など向けに納入実績を上げている。開発費がかさみ創業以来赤字が続いているが、3月末に3億円の第三者割当増資を実施、06年3月期は交流駆動型LEDをはじめ紙幣判別機のATM(現金自動預け払い機)向け販売を軌道に乗せ、黒字転換を目指している。