ナイトライド・ニュース
紫外線LED(発光ダイオード)製造のナイトライド・セミコンダクター(鳴門市)は、世界最高水準の発光効率を実現した新製品のサンプル出荷を始めた。紫外線を光源に用いる機器メーカーからの引き合いが相次いでいるという。
新製品は波長375ナノメートル(1ナノは10億分の1)の砲弾型紫外線LED「NS375L-ERLM」=写真。20ミリアンペアの電流で出力は26ミリワット。同じ条件で8.4-11ミリワットだった従来品より2倍以上の高出力で、発光効率は36%と「量産レベルでは世界最高」(同社)となっている。
LED構造の結晶の欠陥を低減させる独自技術で発光効率を高め、基板の表面処理で光屈折率を向上させるなどして高出力を実現。発光効率が高いため消費電力を一段と抑えられるとしている。
サンプル出荷は11月から開始。紫外線は印刷劣化や電子機器の腐食を防止する樹脂硬化に効果があることから、プリンターや樹脂硬化装置などのメーカーを中心に受注が相次いでいる。
ナイトライドの紫外線LEDは現在、紙幣鑑別機器向けが主力。水銀ランプ使用が中心の樹脂硬化分野を「今後LEDに切り替わっていく大きな市場」(同社)とにらみ、さらに売り込みを図る方針。
会社設立から8年が経過し新製品開発に力を入れるナイトライドの村本宜彦社長(46)=写真=に業績などを聞いた。(聞き手=経済部・井内学)
-世界的な金融危機の影響が広がっている。
好不況にかかわらず当社が目指す市場は広がるとみている。不況時にはあらゆる企業が新技術に目を向ける。今こそ他社にない当社の強みを発揮する好機だといえる。
-業績はどうか。
技術は確立できても売れないという創業から数年間の「死の谷」を乗り越えた。2009年3月期は2期ぶりの黒字を確保でき増収、大幅増益となる見込みだ。
-株式公開の準備は。
早期に上場して資金調達する必要も考えたが、ITバブル崩壊などをはさんで実現しなかった。市場環境を見ると、今はそのタイミングにふさわしくないと考えている。