Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ストーリー

Chapter 107

今日から赤外・紫外応用技術展がパシフィコ横浜で始まった。紫外線光源は、半導体露光、樹脂硬化、インク硬化、センサー、殺菌・消毒、その他さまざまな用途で幅広く活用されている。従来、紫外線光源として使用される紫外線ランプは真空管で一本一本ガラス工芸品のように手作業で製造される。寿命が数千時間と短く、発光効率が低い、発熱量が大きい、点灯に数分掛かりオンオフの制御が困難、環境汚染物質の水銀を含むと、デメリットが多いが、代替技術がないとして未だに薄型TV、スマホ、PC等電子製品の製造工程にて大量に消費される。2020年迄に水銀全廃で合意した水俣条約に於いてもランプ業界の猛反発から適用を免れている。

弊社は、水銀ランプをUV-LEDに置き換えるべく、効率向上とコストダウンに心血を注いで来た。その甲斐あって、波長365nmで光出力40W、照度5W/cm2という世界最高クラスのUV-LEDモジュールの開発に成功した。発光効率は30%以上とランプとは比較にならない。今まで紫外線ランプに置き換えられなかった理由は、ランプ業界からの抵抗もあったが、UV-LED素子自体の性能は十分なレベルまで達していたにも関わらず、その性能を十分に発揮できずにいた。それは私たちが得意とする結晶成長技術(素子)ではなく、素子を実装する基板技術、基板に実装する技術が未熟だったことによる。弊社はこれらの問題を解決するために、ダイレクトオン銅実装基板を使用したモジュールを開発し、問題を解決した。従来の多実装モジュールでは、通電直後に素子発光面の表面温度(ジャンクション温度)が140℃を超え、初期出力が半分に低下した。今回開発の基板では効率的に放熱できることから表面温度40℃と100℃もの冷却を可能にした。

肝心のコストに関しても1W当たりの光源コストを1000円と大幅に低減している。ここまで来ると、上述したように問題の多い紫外線ランプを使い続ける理由は見当たらない。確かに、樹脂硬化に使用する場合、酸素阻害に起因する表面のネバネバ(タック)問題があるが、反応工程を酸素と遮断する、若しくは新樹脂の開発で解決しつつある。

前章で、私たちはUV-LEDで熊本震災復興のお役に立ちたいと記述した。この新技術、新製品を実現したことで、それが口先だけではなかったことを証明できることは嬉しい。新製品が普及することで地球温暖化を阻止し、地震、異常気象を本当に減少させることができればと心から念願する。

私達は、今後も効率を高め、コストを下げ続けるロードマップを描いている。今後2年で効率は20%以上向上、光出力1W当たりのコストも20%ダウンを目指している。ご承知の通り、半導体は量産効果で価格が急激に低下する。LED電球が数千円したものが今や数百円と10分の1以下になったことを見ればわかる通り、UV-LEDも必ずそうなる。

赤外・紫外応用技術展では、これ以外にも多くの新製品をお披露目している。是非、パシフィコ横浜へ足を運んで成果を御覧頂きたい。

ハイパワーUV-LEDモジュール

ハイパワーUV-LEDモジュール
波長365nm/最大出力40W(7A)、サイズ:25×60×4.1mm

平成28年05月18日

新製品で震災復興に貢献する

<< PREV | INDEX | NEXT >>

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.