Chapter 106
熊本の次は南米エクアドルと、世界各地で大規模な地震が後を絶たない。日本は毎日どこかが揺れていて、地震列島と言われる所以。地震回数ランキングでは、2011年の東日本大震災以降、東北地方が上位にあったが、今年は熊本地震の影響で九州が上位にある。東京都は例年10位くらいだが16位に下がった。徳島県は44位と地震が少ない。最も少ないのは北陸の石川県となっている。但し、現在少ないことが将来的に安全ということではない。大きなエネルギーが蓄積しているということかもしれない。
木曽の御嶽山やメキシコ、コリマ山の噴火に見られるように地球全体の地殻変動が活発になっている。気象が地殻変動に与える影響は明らかでないが、地球温暖化と関係があると推測できる。電子部品が環境温度の上昇で故障率が高まるのと同じ理屈だろう。
建物の耐震技術がいくら進歩しようとも、タンスの下敷きになれば元も子もない。結局個人が常に危機意識を持って臨機応変に対処するしかない。それは個人も企業も同じ。サプライチェーンが寸断された場合の対処方法も事前に考えておく必要がある。
UV-LEDは、顧客毎に仕様が異なるので、簡単に他社製品と代替が利かない。特にMOCVD結晶成長装置は複雑な構造なので、最悪の場合半年は稼働できない。原料の液体窒素は巨大な据え置き型タンク、アンモニアと水素、有機金属はボンベで供給される。液体窒素はマイナス196℃以下で液化保存する。従って、このタンクが破損するとSF映画「ターミネーター」の1シーンのようなことになる。
製品供給については、品薄なものを除けば常時数か月分在庫しているだけでなく、元となる結晶ウエハは半年から1年分の在庫を確保している。後工程は韓国の提携先が担うので、ウエハを送る輸送ルートさえ確保できれば製品供給が滞ることはない。
最近の気象は異常だ。晴れれば日照り、雨が降れば土砂降り、風が吹けば暴風と、両極端に振れる。地球温暖化の影響は明らかだろう。
そのような意味でも、環境汚染物質の水銀を含み非効率なUVランプをUV-LEDに置き換え、一刻も早くCO2を削減しなければならない。
そのためには口先で唱えるだけでなく、行動が必要になる。単なる素子の高効率化とコストダウンだけやっていても遅々として普及しない。樹脂硬化であれば、UV-LEDに最適な樹脂も提供する。また、空気清浄であれば、触媒の酸化チタンやフィルターと組み合わせたユニットとして提供する。そうすることでUV-LEDを社会に認知してもらい、人々のお役に立てるところまで昇華できる。
地震が起きる度に、自らが被災しなかったことを有り難く思うが、被災しなかったのは果たすべき役割を終えていないから。
UV-LEDを産んだ者の責任として何としても務めを果たさなければならない。
平成28年04月19日
熊本地震に思うこと