Chapter 123
このところ毎週のように講演があり、米国での訴訟、新製品のプロモーションと、忙しい毎日を送っている。 講演も、LED業界関連ではなく、異なったテーマでのお誘いもあって、話す内容も気を遣う。 特に、弊社の名前は兎も角、UV-LEDを知らない方々もおられるので、顔見知りが多いLEDの講演より神経を使う。
さて、新聞やテレビは毎日のように企業の不祥事を取り上げ、主(あるじ)は変われど次から次へと新たなネタが出てくる。 きっかけは、関係省庁の調査とされているが、そもそもの情報は、SNSでの情報がきっかけになっていると推測できる。 過去にも、飲食関係でアルバイトの悪ふざけや不正が、SNSに投稿された事件があった。
「何事も、綺麗ごとだけでは済まされない」とは、社会人になって、ある程度経験を積んだ先輩からの説教として聞かされる文句だが、SNSは、そのような闇を表沙汰にすることで、その業界、企業にはびこる悪しき慣習を是正する役割を果たしつつある。 ただ、一方で、長年、それが慣習化していたにも関わらず、それが原因となる強度不足その他の不都合がなかったとすれば、そもそものルールが無意味で、遵守する意識が希薄化したとも受け取れる。 従って、実情に即したルールの見直しも求められる。 いずれにせよ、こういう問題が表面化するのは、社会が正常化している証拠であり、ニュースを観るのを煩わしく思う反面、是正されるのは佳としたい。
私は、子供の頃から、言っていい事と悪い事の区別ができないと母に叱られた。 例えば、親戚の家を訪ねた時、家が臭かったので「この家臭い」と言ったことを叱られた。 確かに「臭い」と言われれば、気分を害する。 しかし、放っておけば、訪問者は同様に感じる訳で、私が、逆の立場であれば、子供に感謝する。 正に「裸の王様」だ。
日本人は特に、人間関係に波風を立てないように気を遣う。 「それが、所謂、処世術である」と、先輩は知ったか振りをする。 贈り物も「つまらないものですが」と言うよりも「今SNSで人気の〇〇です」と、情報を添えて説明した方が有り難く感じるように思う。 実際、頂いたものをスマホで検索して価格を調べる主婦が多いと聞く。
UV-LEDによる殺菌、消臭、捕虫機能をLEDピュアと命名した。 ピュアは「純粋」という意味だが、その裏には、性能、効果に疑問を感じる製品が溢れていることに対する皮肉もある。 弊社は、LEDピュアを販売するにあたり、量販店にリベートを払ったり、担当者の接待といったことも含めて、一切、利益供与しない。 本当に製品を必要としておられる方が、製品の性能、効果を気に入ってくださって売れる分だけで十分と考えている。
また、製品の利幅を薄くして、消費者が安く手に入れられる様にしているので、家電量販店に卸せるような価格設定になっていない。 それで商売が成り立つのか? 企業としてはLEDピュアが売れなくても、UV-LEDの販売で成り立っている。
情報が氾濫する時代、何事に於いても道標となるのは、「正直」ということではないか?
平成29年11月07日
心掛け