Chapter 127
今日の新聞一面は、中国政府の過大債務問題だったが、トランプ米国、欧州、日本、政府は、どこもかしこも借金まみれだ。 なぜか?それには訳がある。
国家財政の赤字は、それが悪いということではなく、人気投票で選ばれる政治家が統治するシステムの宿命と言える。 国として考えると頭が混乱するので、インフラ整備及び、治安維持、教育、福祉等サービス業を営む日本株式会社と捉えれば分かり易い。 首相は社長、政府は取締役会、公務員は従業員、そして国民が株主にあたる。
日本株式会社の2017年度の事業予算が100兆円、保有する資産は650兆円、借金は1080兆円。 資産には、年金用に積み立てている資産が含まれていて、一般企業の年金基金とは違い、従業員以外の分を含んでいるので資産としてはもっと少ない。
日本の金融機関の金融資産総額は、2017年3月末時点で3301兆円(日本銀行調査統計局)。 日本株式会社の資産は、金融機関保有総資産の5分の1でしかない。 また、個人金融総資産が1830兆円なので、個人が日本株式会社の3倍お金持ちという状況。 この統計には、金融機関以外の企業の資産は含んでいないので、日本全体の資産総額は遥かに大きくなる。
日本株式会社を黒字にするには、歳入=税金を増やせばいい。 しかし、増税は株主が歓迎しないので、社長以下取締役会は、二の足を踏む。 無理に増税しても、経済活動が停滞する等、負の影響も予想される。 その結果、民間企業と個人が日本株式会社の何倍も裕福になった。
つまり、日本株式会社の株主である国民が黒字を許さなかったと言える。
一般的に、国が財政破綻すると、その国の貨幣価値はゼロになり、経済活動できなくなることになっている。 しかし、これは、冷静に考えるとおかしい。 なぜなら、日本株式会社が放漫経営で潰れたとしても、先ほど説明した、日本株式会社より遥かに大きな経済規模の経済圏が消失することにはならない。 精々、従業員たる公務員が転職の憂き目に遇うに過ぎない。
それに、今の日本株式会社が経営破綻したとしても、提供しているサービスは必要なので、代わりのサービス提供は必要になる。 従って、新たに新日本株式会社が設立され、雇用を生み、従来通り税金を徴収することになる。
先日、仮想通貨で540億円が紛失する事件が起きたが、コインチェックはそれでも倒産していない。 総運用資産がどれくらいあるのかは定かではないが、一般的な企業の発想では、あり得ない。
なぜ、このような話をするかと言うと、わたしたちは、思い込みで物事を理解していることが多い。 借金=悪といった具合に、脳が安易に理解し易いように思い込もうとする。 仮想通貨は、実は政府の発行する通貨と大差ない。 その価値を信じる人たちの間では価値を持つが、価値を信じない人には無価値だ。
今、従来の概念を超えた新たなサービスや製品が世に溢れて、人々の価値観を根底から覆しつつある。 本質がどこにあるのか。 見極める観察力が重要になる。
平成30年03月06日
仮想通貨事件と政府の赤字に思うこと