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ナイトライド・ストーリー

Chapter 144

単なる政治的駆け引きに過ぎないと高を括っていたが、日韓関係の悪化を懸念している。 私自身、創業間もない頃から、韓国を頻繁に訪れ、多くの友人がいるので、悪い感情を抱いたことはない。 弁護士の父は、ある韓国人のクライアントにお世話になり、私たち三兄弟のランドセルを、プレゼントして頂くなど、家族ぐるみのお付き合いをした。 また、社会人になってからも、創業後、厳しい状況の中で、一向に売れる気配のないUV-LEDを事業化するにあたり、唯一、ソウル半導体が弊社の特許に価値を見出し、力を併せて闘って来た。 一方、日本の大企業は、「一緒に開発しましょう」と来て、「大きな会社だから守秘義務契約を結ぶには時間が掛かる」と、NDA締結を渋り、独自に開発を進めた。 日本企業全てとは言わないが、µLEDディスプレーに関しても、特に大企業は様子見の姿勢、一緒にやりましょうと言う申し出はない。

仕事上に限らず、出張の際、ハングル語が読めないので、違う高速路線バスに乗ってしまった時は、親切な運転主さんと乗客の皆さんが、高速道路のサービスエリアで、知人が迎えに来るまで、1時間以上停車してくれた。 また、ホテル近くのバス停で降り損ねた時は、最終地点から、私一人を乗せて折り返して運転してくれた。 更に、雪の降る厳しい寒さの中、タクシーで降ろされた場所が、全く違う会社だったにも関わらず、優しい守衛さんが、ここで暖まれとストーブに当たらせてくれたこともあった。 唯の迷惑な日本人だが、神対応と言える経験を多くした。 たまたま、親切にしてもらったということではなく、何時でも、何処でも親切にしてもらった。

私が恐れるのは、偏見、差別と言った、全く根拠のないことで、相手を憎んだり、蔑んだりすることである。 韓国のGDPは、12位(2018年)と、失われた20年後でも3位に留まる日本には及ばないが、確実に上昇している。 半導体、スマホといった先端分野の電子製品では、日本を凌駕するまでになった。 自動車産業にしても、エコカーの取り組みは遅れたが、デザインでは、日本車より格好のよいものさえある。

共に輸出で成り立つ日韓の立場からすれば、利害は共通している。 自由貿易主義連合として、結束して保護貿易主義に対抗して行く重要な時期にある。 お互い些細なことには目をつぶり、大局的に物事を判断して行くべきと考える。

関西からだと、飛行機に乗れば、東京へ飛ぶのもソウルへ飛ぶのもあまり変わらない。 それぞれ、得意分野があって、お互いが補完し合うことで、より強い相手とも戦うことができる。 最近、取引先から、事業に影響はありませんかと質問されることが多くなったので、日韓関係に触れたが、私自身が経験した、親切な韓国人のエピソードを多くの日本人に知ってもらうことで、わだかまりが解け、民間レベルでの親睦が進むことを期待する。

親切にして下さった方々に、お礼さえできていないが、この場を借りて、お礼申し上げたい。 韓国の親切な皆さん、その節は、本当にありがとうございました。 私は、皆さんに本当に感謝しているので、一刻も早く関係が改善することを望んでいます。

創業当時、ソウル半導体リー会長との記念撮影

創業当時、ソウル半導体リー会長との記念撮影

令和元年08月23日

親切な韓国人

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