Chapter 168
鳴門市を五輪聖火ランナーが駆け抜けた。久し振りに、すがすがしさを感じた。 弊社の社員も、元気よく聖火を受け継いだ。 聖火は、スポンサー企業の電飾カーが先導する形で、最後に聖火ランナーが走った。派手なダンサーのパフォーマンスも、沿道の観衆がまばらなので寂しげだった。 私は、なんとか東京オリンピックを成功させて欲しいと願っている。このところの政府に対する厳しい指摘も、成功させるために、敢えて声を大にして発信している。 私自身が嘗てイベントに携わっていたので、昨年やる筈のイベントを1年延期して実施する苦労は痛いほどわかる。 ダンサーから受け取った宣伝用スポーツタオルの日付は昨年のものだった。ただ、純粋なダンサーや国民の心理とは裏腹に、政府の発信するメッセージになぜか違和感を感ぜずにはいられない。 純粋さとはかけ離れた、焦りのようなものを感じる。一握りの腹黒い悪代官が、揉み手で近寄る商人と結託して利益を誘導しているイメージを払拭できない。 その焦りが、感染防止という命の判断を狂わせていることを多くの国民が肌間隔で感じ取っている。 だから、多くの国民が歓迎ムードにならない。国民に政治不信を抱かせた政府の責任は重い。 日本の産業競争力の大幅な低下、財政悪化、教育の質の低下、日銀超低金利政策と市場介入、ジャパン・ディスプレー、ルネサス、東芝問題、カジノ誘致等々、個別案件ごとのミスリードも目に余る。 もともと、民間企業の国際競争力低下が始まったのは、1986年の日米半導体協定、1987年リゾート法制定以降、強く成り過ぎた日の丸ジャパンを止められないため、 マンハッタンの地下鉄にホームレスがたむろしていたドン底米国のレーガン政権は、日本を徹底的に叩いた。日本の製品はダンピング課税で排除され、 日本車をハンマーで叩き壊す映像がTVに流れた。一方で、日本国内では、国民を骨抜きにするリゾート法に則り、 各地にゴルフ場や保養施設、テーマパークが計画され、働き詰めだった日本人は、余暇を楽しむことが推奨され、休日が増えた。その後、国を挙げて、 株や土地へのマネーゲームに狂い、飲めや歌えのどんチャン騒ぎはジュリアナ東京のお立ち台で極まった。バブルカー日産シーマやホンダNSXが飛ぶように売れ、 小型のベンツやBMWは、六本木カローラと揶揄された。物価高騰で、土地成金が巷に溢れ、一晩で1千万円飲む豪傑も珍しくなかった。真面目な働き者日本人の人格が豹変した瞬間と言っていい。 そして、91年のバブル経済崩壊で、日の丸半導体は壊滅。その後、武士の商法の通り、経営の傾いた半導体産業を、知識も経験も乏しいお役人が救済しようにも、 頭で描いた通りには行かないのは当然のこと、ゾンビ企業の延命を血税で続ける。オリンピックは、スポーツという、嘘のない世界での真剣勝負だからこそ、 世界中の人々が熱狂する。政治にも、野球やラグビー同様、外国人助っ人が必要なのかもしれない。当選回数で序列が決まる今の政治では、何も変えられない。 ワクチン供給が間に合わないとわかった今、出来ることは限られるが、日本初の世界技術、紫外線LEDを活用して、少しでも安全に開催できるようになればと懇願する。 大したことはできないが製品を無償で提供する準備は出来ている。
令和3年4月16日
まもなくタイムリミット