Chapter 169
竹槍(薙刀)の広告が話題になっているが、次は神風特攻隊の広告が掲載されるだろう。開催が絶望的になった今尚、中止の議論にならないのは、日本の危機管理能力の大幅な欠如を表している。登山家ならわかる。穏やかな天気には何事もなく登れるが、雪嵐では、死にに行くようなものと。Chapter165で記述した通り、選手、審判、コーチ、監督、大会運営スタッフ、更にサービス、物資供給業者等を完全に管理することは、テロがなかったとしても難しい。爆弾や刃物なら金属探知機で防ぐ術があるが、今や市中に溢れるウイルスなら、感染経路さえ特定できない。未だこの期に及んで、その困難さえ、認識していないとすれば、開催すべきではないと断言できる。ワクチン供給がこの有様であれば、テロ対策もどこまで徹底されているか疑わしいが、まともに判断ができない断末魔状態と言える。世界情勢が極端に不安定になっていることも気掛かりだ。米中の対立が表面化し、中東の軍事衝突は激しさを増し、ロシアは五輪への団体の参加が許されなかった。高騰し続けた株価も危うい状況になっている。ウイルスや細菌を不活化し、宇宙ステーションでも採用されている深紫外線LEDを活用すれば、人の移動を制限せずに、経済活動を大幅に制限することもなく、五輪も開催できたかもしれない。しかし、こちらが無償で提供すると申し出ても、反応がないのであれば、手の出しようがない。国土交通省の車内でのコロナ対策資料では、プラズマイオン、ナノイーといったイオン式の空気清浄機の設置が検討されているようだが、弊社の試験データでは、人体に害を及ぼさない濃度のオゾンを放出することでは、ウイルス不活化はできない。一方で、紫外線の光による細菌やウイルスの不活化は、1887年、Downesらによる太陽光での研究に始まり、以降、豊富な研究論文とあらゆる細菌、ウイルスに対する実証データがある。殺菌のメカニズムは、DNA及びRNAのたんぱく質には、波長254nm辺りに最大吸収帯があり、光が当たるとたんぱく質が光を吸収し変質することで増殖が止まる。光の都合がいいのは、光照度は距離の2乗に反比例するので、人体への影響をコントロールできることである。一定濃度以上のアルコール、オゾン、塩素といった物質でも不活化できるが、人体に影響を与えない濃度管理が難しい。米国疾病予防管理センター(CDC)が警告を発した通り、次亜塩素酸水の噴霧では効果が認められない。それは、噴霧すると塩素濃度が100分の1から1000分の1になってしまうからだ。同じく、空気中ではウイルスとの接触時間が短すぎるので不活化に至らない。今回のパンデミックで、科学的根拠の乏しい便乗商品が多く出回り、全てが同様にいかがわしい商品と思われてしまった。医療機関向けを謳う、紫外線LEDの光を応用した製品の中にも、不活化に必要な光エネルギー(照度×時間)が足りないため、効果が認められないものも存在する。従って、今後、家電業界の発展のためにも、第三者鑑定機関を設け、性能を実証、認定するような制度が必要と思う。
世界史に於いて、一度繁栄した国が再度栄えることはないそうだが、五輪中止で、日本の無様な現状を世界に晒し、恥をかくことで、バブル後、骨抜きになった国民に火が付くかもしれない。その姿が奇跡的復興として後世に語り継がれれば最高のレガシーとなるかもしれない。
新旧小型空気清浄機性能比較 第2弾
令和3年5月13日
東京五輪神風特攻隊