Chapter 180
人間の愚かさと無力を実感する。もう、既に1か月以上が経つというのにプーチンの横暴を止めることができない。ただ、冷静に考えれば、米国は、2001年9.11以降、テロ撲滅という大義で、20年間アフガニスタンでタリバンを相手に戦争した。マスコミの伝え方次第で、正義にも悪にもなり得る恐ろしさがある。戦争にもルール(ジュネーブ条約)があるが、民間人が誤爆の犠牲になった例は、去年のアフガン撤退時にさえ起きた。また、米軍や豪軍による捕虜虐待、殺害に関しては映画、ドラマ化される程有名なので、非人道的行為は、ロシア軍に限ったことでもない。マスコミにも公平性が求められる。
日本の自衛隊は他国を攻撃できないが、世界有数の武器保有国である。また、どこの国も軍隊を持っている。それは、国として戦争を否定せず、いつでも戦争できますよということを意味している。1945年太平洋戦争終結以降、48年朝鮮戦争、55年ベトナム戦争、48年 1次から73年の第4次まで4回行われた中東戦争、78年ソ連・アフガン戦争、82年フォークランド紛争、最近では、2021年イスラエル・ガザ紛争等、小競り合いはいつの時代にもあった。
ロシアの軍事力ランキングは、2022年で2位( Global Firepower)とされていて、GDP11位(2020年)の経済力に比べて異様に軍事力が強大なことがわかる。つまり、国民生活を犠牲にして軍備を増強しているということであれば、統治者がこれを有効に活用したいと思うのは当然のことと思えるし、虎視眈々とその機を伺っていたのかもしれない。中国は、3位だが、身の丈にあった3位であり、落日著しい米国を抜いて1位を狙っている。いずれにせよ、米国を中心とした世界秩序は、経済、軍事的バランスが極端に不安定になった。NATOは、地理的にまとまり易いので利害が一致するが、太平洋地域では、日本、韓国、台湾は、米国の遥か西に位置するのと、歴史的にまとまりが悪い。特に、日韓は、地理的、経済、軍事的に似たようなポジションにあることから、結束して太平洋地域の安全を守ることが求められる。挑発行為がエスカレートする北朝鮮は、中国、ロシアにとっては、御しやすい駒であり、世界の注目が西を向いている間隙を突くといったことがないとは限らない。極東も安穏としていられなくなった。
日本は、高々77年前まで戦争当事者であっただけでなく、原子爆弾を体験した唯一の国である。歴史上、独「ナチス」と日本「パールハーバー」は世界の人々の記憶にある。日本として今できることは、戦争の悲惨さ、その無益さを知る者として、プーチンを説得し、即刻辞めさせることではないか?また、単に米国のマスコミが伝えてくるようなご都合主義ではなく、公平な観点から、なぜ、プーチンがこのような戦争をし、ウクライナで、何が起きていて、どちらの言い分が正しいのかといった、真実を伝えることが求められる。
「盗人にも三分の理」があるように、プーチンにも何がしかの理由がある筈。それが分からずして、道は切り開けない。
令和4年 4月 5日
日本の果たすべき役割