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ナイトライド・ストーリー

Chapter 179

このところ中国脅威論ばかりが強調されていたので、ロシアにもそんな元気あったの?という感じだが、ロシアと言えば、歴史教科書の「不凍港獲得」という言葉を思い出した。ご承知の通り、寒い国なので、国民はウォッカを飲む。特にソビエト連邦(以下ソ連)時代はストレスもあって、アルコール依存症が多く、ゴルバチョフ書記長も依存症だったとされる。武闘派を自称するプーチンは、ウォッカと煙草を規制した。ロシアの代々皇帝は、機会あるごとに、南下政策を推し進め、東欧側のクリミア半島、中央アジアのアフガニスタン、極東の満州で衝突を繰り返した。ソ連時代も、1979年、米国が弱体化したとみるや、アフガニスタンへ侵攻した。80年モスクワ五輪ボイコットで柔道山下泰祐さんが涙ながらに会見した映像が懐かしい。昨年、米国軍がアフガニスタンから撤退する最中に、アフガニスタン政権が倒れたことも、今にして思えば、ロシアの強力な関与があったのだなと推測できる。ソ連のアフガニスタン侵攻では、1万5千人の若いソ連兵が命を落とし、その失敗が冷戦の終結を早めたとされる。その後、40年以上経って、ロシアは、米国の失政につけ込んで、棚ぼたで念願のアフガニスタンを実質的支配下に置くことに成功した。

クリミア半島は、18世紀後半、女帝エカテリーナ2世がオスマン帝国と戦って獲得したものの、19世紀半ば、欧州各国の思惑からクリミア戦争で失った因縁の地。昔も今も、戦争は、天然資源や利権を争うが、ウクライナも日本同様、天然資源の乏しい国で、石油、天然ガスの大半はロシアに依存し、チェルノブイリの苦い経験にも関わらず原子力発電への依存度が大きい。核兵器こそ使用しないものの、原発を攻撃すればそれと同程度の威力を発揮することは、チェルノブイリや福島原発が立証している。ドーピング問題で東京に続いて北京五輪にも参加を認められなかった腹いせか、戦争も手段に遠慮がない。

ロシアから欧州へ供給される天然ガスの80%がウクライナを経由するということで、ロシアにとって、重要な地域であることは疑いがないが、戦争で、欧州とのビジネスを台無しにするほどの価値があるとは思えないので、プーチンの思惑としては、損得勘定ではなく、ロシア帝国再建の野望に燃えて南下政策を進めたと考えるべきではないか?独裁者プーチンの名を残したい?そうだとすれば、極東日本も対岸の火事と言っていられない。ロシアの後押しで、北朝鮮からミサイルが原発を狙って飛んでくるかもしれない。

我々が、世界情勢に関して知らされていることは、都合のよいことばかりで、中国やロシアに於ける、言論統制に見られるように、実質的独裁政権の実態は、もっと酷いのかもしれない。ベルリンの壁崩壊以降、経済の自由化は進んだが、民主化は進まなかった。ロシア企業は実質国有化され、言うことを聞かないオリガルヒ(富豪)は排除された。

米国の弱体化と、中国の台頭、そして、ロシアの領土的野望、更に、各地域に於ける独立化、多様化の流れを見れば、長らく記憶から遠ざかっていた世界大戦前夜と似たような様相を呈していることがわかる。パンデミックや自然災害による疲弊も重なって、株価暴落がトリガーにならないとも限らない。世界情勢から目が離せない。

令和4年 3月 8日

ウクライナ侵攻に思うこと

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