Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ストーリー

Chapter 193

 WBCの興奮が未だに覚めないが、このところ、サッカー、ラグビーと、野球以外のスポーツへの関心が高まっていたので、改めて野球の面白さを実感した。私は、2006年のWBC第1回大会の決勝戦を、偶然にも出張で訪れていたLAのスポーツバーで観た。日本代表として、イチロー(マリナーズ)、松坂大輔(西武)らトップクラスの選手が出場したが、アメリカは、トップクラスのメジャーリーガーが参加しなかったことから盛り上がりに欠け早々に敗退したこともあって、放送を観ていたのは、私ぐらいだった。ところが、今回は、アメリカも本気で勝ちに来ていたので、大いに盛り上がった。特に、大谷翔平(エンゼルス)という天才の一挙手一投足から目が離せなかった。二刀流という、常識的には、体力が続かず、故障するのが落ちだから、プロでは有り得ないとされていたスタイルで、負けていたら、やっぱり無理でしょうとなったところを、勝ってみせたことが凄すぎた。それも、決勝戦の9回にマウンドに上がって、最後のバッター、メジャー最強打者トラウト(エンゼルス)を空振り三振ですか。有り得ないでしょう。八百長でも、こんなシナリオは不可能です。こんなシーンにお目にかかれるのは、一生に一度と言っても過言ではありません。日本人でよかったと本気で思えた瞬間でした。大谷に限らず、面白かった理由は、型にはまらない野球スタイル。つまり、野球はこうあるべきといった優等生的プレーではなく、才能のぶつかり会いが面白かった。高校野球であれば、1塁にランナーが出れば、バントとお決まりのスタイルがあるが、栗山英樹監督の采配は、選手を信じて任せる感が強い。選手自身が、経験的に判断して、何をすべきか理解していたからできたことであり、常道を無視した訳ではないけれども、高いレベルの選手達の才能の競い合いという形で、ある種の放任主義を感じた。しかも、様々な個性を持った選手達が、それぞれの強烈な個性を発揮し、躍動した。地味ながら近藤健介選手(ソフトバンクホークス)の巧みなバットコントロール、吉田正尚(レッドソックス)の豪快なホームラン、先発、中継ぎ、抑えの投手陣の好投も挙げない訳にはいかない。兎に角、勝てる要素に溢れていた。レベルの高い選手達が引き起こす化学反応が、栗山監督の的確な采配によって良い方向へ働いた。私自身、野球を観る機会が減っていたが、また、観ようかという気になった。多分、野球界全体に、他のスポーツだけでなく、スマホ、その他の娯楽に押されて、人気が低下傾向にあるという現実が、何とかしなければという危機感に繋がったのだと推測する。そうでなければ、大谷の二刀流は実現しなかっただろう。それを成功させた、栗山監督は、ビジネス的感覚では、アントレプレナーだし、特に日本の経営者は見習わなければならない。やる前から、そんなことは無理だと、言っていないだろうか?日本は、少子高齢化が進んで、若年労働者が少ないから無理、政府が支援に消極的だから無理、従業員のやる気がないから無理と、できないことを環境や他人のせいにしていないか?兎に角、WBCという舞台に於いて、少子化日本の若い選手達が、世界の頂点を見せてくれたことで、自分たちの言い訳が、単に、やらない理由に過ぎなかったことを証明した。私自身、大いに反省し、やるべきことを、やらねばと、決意を新たにしている。

美しい東京の夜景

美しい東京の夜景

令和5年4月06日

WBC侍ジャパンが教えてくれたこと

<< PREV | INDEX | NEXT >>


TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.