Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ストーリー

Chapter 62

あまりに不愉快なので、最近は、節電も意識してTVの電源さえ入れないようにしている。このところの急激な円高は、米国デフォルトに便乗した投機マネーによるもので、長続きしないだろう。むしろ、今後、急激な円安に向かうと見ている。なぜなら、近い将来、日本がデフォルトになるリスクが高いからだ。

米国のデフォルトは回避されたが、冷静に見ればリーマンショック以降、米国、欧州各国の財政が破綻しなかったのは、ひとえに中国、ブラジル等新興国が大量に先進国の国債を買ったという理由による。もし、新興国の発展がなければ、先進国の財政は破綻していた。

中国は、今や世界の工場、消費地として重要になったというだけでなく、世界の主導的地位も確立したと言っていい。それを、先日の高速列車事故で、温家宝首相が、国民に深々と頭を下げる姿を見て確信した。たかだか列車事故程度で国家元首が国民に謝罪するだろうか。日本では、原発事故でも菅首相が国民に謝罪した記憶はない。頭は下げたのかもしれないが、記憶に残っていない。謝罪は、誠意とタイミングが重要だ。頭だけ下げても謝罪にならない。民間企業の不祥事でも、トップの謝罪が不適当だと、辞任に追い込まれるケースが後を絶たない。事なきを得た事例は、トヨタのリコール問題ぐらいか。私は、温家宝首相が謝罪する姿を見て、日本は中国に負けたと感じた。GDPの日中逆転はあまり気にしなかった。なぜなら、どうせ粉飾に違いないという思いがあった。しかし、苦渋の表情で深々と頭を下げる温家宝首相の姿を見て、負けを確信した。確かに、中国では未だに思想の制限が存在し、企業の決算も粉飾が当たり前ではあるが、多様な民族を統治し、経済が急激に発展する過程において、多少のひずみは仕方ない。そのような些細なことにこだわって、全体を見誤ってはならない。中国は、強力なリーダーシップを持った国家元首を頂点とする強固なピラミッド構造を構築し、発展の礎を確立した。経済の発展こそが、民族問題そして貧富格差の解決策になることを確信しているのだ。一方、先進国は、そのようなカリスマ元首不在と社会主義化が進み、欧州の暴動に見られるように、国が滅びようとも、個人が自己主張を押し通そうとするエゴ民主主義に陥っている。即ち社会主義国の方が個人の地位向上に伴って民主的になり、先進国が利己主義に走って社会主義的になり、逆転現象が起きている。この流れは歴史的に避けられない要因もあり、善し悪しの問題ではないが、事実を述べている。

私自身が、この会社が危機的な状況で学んだことだが、穴の空いたやかんにいくら水を足しても無駄だということだ。小さな穴でも、一度、穴を塞いで漏れを無くさなければならない。小さな穴は放っておくとどんどん大きくなる。潰れかかっている会社の社長に限って、毎晩のように飲み歩いている。その理由を尋ねると、飲み代なんか、借金の額に比べるとたかが知れていると答える。私の経験上、そのわずかな支出さえ切り詰めることができない経営者が、膨大な借金を返済できた試しはない。日本の借金を見た場合、今問題となっている米国、欧州を遥かに上回っている。そこに今回の大震災という不運が重なり、返済できる限界を越えているが、自国民が買っているので問題にならない。

その行きつく先は、誰の目にも明らかである。日本を救う方策は、経済活動の活性化しかない。その方策として、今の状況でできるのは、規制緩和しかない。企業の活動を自由にすることで、国の財政負担なく、経済を活性化できる。株式市場の上場規制を緩和し、新しい企業が、毎日のように上場できるよう株式市場を活性化し、貯金マネーを呼び戻す。派遣にしても、正規雇用が増えない現状を見れば、規制を緩和する方向への軌道修正が必要な事は明らかだ。

今の先進国に共通する問題点は、行き過ぎた社会主義化とそれによる財政の悪化だ。経済の活性化なくして、社会保障の充実はない。貧困をなくし、格差を是正するという志は美しいが、貧困をなくすためには、健康な国民全員が額に汗をして一生懸命働くという前提がなければならない。それも、厳しい国際競争に勝つことで、初めて貧困撲滅という美しい社会が実現する。

いい加減に、社会保障を言い訳に飲み歩くのはやめよう!

平成23年 8月 4日

社会主義と民主主義の逆転

<< PREV | INDEX | NEXT >>

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.