Chapter 64
最近、世界各地で地震、大雨、火山噴火等自然災害が頻発している。「これらは全て、愚かな人間に対する神の怒りである」と言っても、頭がおかしいと思われない説得力がある。これらの災害は、新興国の経済発展と密接に関連していると思われるが、最近、鳴門でも屋外に駐車してある車の雨染みや、毎朝の窓拭きタオルが黒ずむのが気になる。原因は、中国大陸から飛んでくる車や工場の排ガスだが、中国とインドの統計上の人口だけで25億人もいる。これらの人々が先進国並みに自家用車を所有したら一体どうなるのか。ちなみに先進国では、最大の米国が3億、日本が1.2億、ヨーロッパ各国は、独8千万、英6千万、仏、伊は5千万人前後に過ぎない。国連人口基金(UNFPA)の人口白書によると全世界の人口は現在70億人、2100年には100億人を越えるという。先進国以外の人口比率が高く、今後更にその差は広がる傾向にある。
IT情報革命の影響で、独裁政権が崩壊したアルジェリア、エジプト、リビア、そしてイラン、イラク等のアラブ諸国も、今後、経済発展が進むため、地球温暖化は急激に加速する。
異常気象は、食糧問題とも関係するので、飢餓が心配される。基本的にこの流れは変えられない。人間の欲求は尽きることがないので、よりよい生活を求めることは止められない。先進国では、実質的な失業率が二桁に達し、職を求める人々のデモが拡大しているが、失業と移民は密接に関係している。先進国の若者は、肉体労働等の職には就きたがらないので、移民が仕事を得る。移民は人件費が安く、文句を言わないので雇い主にも都合が良い。失業者は、政府として放っておけないので、失業給付、生活保護給付等で財政を圧迫するという悪循環になる。
日本の実質的失業者が5百万人近いとのことだが、本当に職がないという人は少ない。自分がやりたいと思う仕事に就けない人は、失業者ではなく未職者と呼んで区別すべきだ。弊社も、職安に求人募集を出すが、応募してくる人は少なく、根性を試そうと思い「覚悟はあるか」と尋ねると、辞退する者もいる。国が豊かになればなる程、人間は堕落する。歴史的にも、過去に繁栄した国が、もう一度繁栄を取り戻すことはないことを証明している。今、問題のギリシャは、紀元前5世紀頃、ポリス同盟を中心に発展し、パルテノン神殿はこの頃建造された。その後、ペルシャ戦争に敗れ、アレキサンダー大王の登場、紀元前後のローマ帝国の繁栄と続く。残念ながら、今のギリシャには、たった300名でペルシャ1万の大群に立ち向かった勇者スパルタの面影は微塵も感じられない。
今、欧米では、日本のバブル崩壊と同じことが起きている。当時、海外から日本政府の対応が後手後手と言われたが、結局、欧米自身が、全く同じ指摘を受けている。結局、誰もが不人気な役はやりたがらない。私は、社団法人の事務局長時代、NHKが特番を組む程活発な活動をしたが、結果として返ってくるのは僅かな称賛と膨大な批判だけだった。成し遂げた事業は評価されず、その過程の些細な事を指摘され、悪者扱いされた。そのような経験からも、政治家や官僚が敢えて不人気な政策を進めない事情は理解できる。結局、問題は先送りされる。オリンパスという優良企業に於いてさえ、あのような不正が行われる。客観的には、その時点で損失を正直に申告すれば、当時の経営陣が謝罪する程度で済んだことが、20年以上隠したことで会社存亡の危機に発展した。誰かが泥を被る覚悟を決めなければ、滅びる運命を変えられない。歴史的にも、国民に人気のある政策が国を滅ぼすことは、ローマの円形闘技場を見れば明らかだ。皆さんは、本当は面白くもない低俗TV番組を見て笑い過ごすのと、早寝早起きをして美しく生きて、2千年以上にもわたって教科書に英雄として語り継がれるのと、どちらがいいですか?
平成23年11月16日
歴史が証明すること