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ナイトライド・ストーリー

Chapter 65

新年を迎えた。お蔭さまで、正月3が日も工場はフル稼働と、忙しい年越しとなった。これも、ひとえに皆さま方のご尽力の賜物と、心より御礼申し上げると共に、一部のお客様に納期でご迷惑をお掛けしていることをお詫び申し上げる。

さて、昨年は、大規模な自然災害が世界各地で発生し、経済的にもユーロ問題に揺れ、アラブでは独裁政権が崩壊し、スティーブ・ジョブズ氏、金正日総書記が亡くなった。9.11同時多発テロから早10年、「想定外」という言葉が象徴するように、経済学者J.K.ガルブレイスが20年前に唱えた不確実性の時代が一層深まっている。

電子部品業界全体としては、ムーアの法則が限界に近づき、半導体の需要も頭打ちになり、薄型TVの価格が急激に下落し、ガラパゴス携帯がスマートフォンに代わり、節電の影響でLED照明が普及した。弊社のUV-LEDは、海外の銀行ATM用光源としての需要が好調で、昨年上期迄の実績で、4期連続増収増益となった。

このような不確実な時代だからこそ、見える真実がある。成功するためには一体何が必要か?その答えは、確実な事を積み重ねるということではないか。しかし、ここで言う確実な事は、少し判断が難しい。すなわち、既成概念(一般常識)に囚われない客観的事実として確実と判断されることを意味する。

弊社は、2000年の設立時、ベンチャーキャピタルから約14億円の投資を受け、「やるだけ無駄」と言われたUV-LEDの開発に取り組んだ。2005年夏頃、資金繰りに行き詰まり、博士号(PhD)エンジニア達は会社を去り、厳しい状況に陥っていた。しかし、その危機がプラスに働いた。それまでは独自開発にこだわり、研究開発補助金を申請したことはなかったが、2年間で約6千万円を初めて経済産業省に予算申請し、また、複数台の装置を24時間稼働していたのをやめ、1台の装置で1週間に数回に制限した。その他あらゆる無駄を徹底的に削減し、ランニングコストを大幅に下げた。

知識豊富なエンジニアがいなくなったことで、理論や先入観に囚われず、目の前で起きた現象を観察、分析するようになり、また、装置の稼働を減らしたことで、成長条件を絞り込むことができるようになった結果、UV-LEDの性能は飛躍的に向上した。正にセレンディピティ(幸運力)だ。

ここで重要なことは、確実な事は何かということ。教科書の知識、今までの常識といったものは確実ではない。自分の目、手、足で確認したものだけが確実なものと言える。大体の場合、その結果はこうなると生半可な知識や、常識で判断しがちだが、それを、本当にそうだろうかと疑うことに成功の秘密が隠れているのではないだろうか。他者が真似しないくらい馬鹿げたアイデアに成功の鍵がある。

“Stay hungry! Stay foolish!”  Steve Jobs

平成24年集合写真

今年も宜しくご指導、ご鞭撻の程、お願い申し上げます。

平成24年01月04日

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