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ナイトライド・ストーリー

Chapter 77

株主総会の時期を迎えた。既にご案内の通り5期連続の増収増益を達成し、また、設立当初からの研究開発投資で嵩んだ累積損失は、資本金を減資することで一掃した。その結果、設立以来、初めて株主へ利益配当を実施する。これも、厳しい時期を支えて下さった、お取引先、株主、金融機関、そして、へこたれずに頑張った従業員のお陰である。

さて、この13年間、必死にもがいているうちにここまで来た。アジアの大手LEDメーカーが青息吐息、ベンチャーに至っては全滅の状況を見れば、弊社はユニークな立場にある。日本は、アベノミクスの恩恵で、製造業にもフォローの風が吹き始めた。面白いと感じるのは、時代の移り変わりと共に、不利な者が有利に、逆に有利だった者が不利に変わるということ。新興国がこのまま成長し続けるかと思いきや、また、半導体、太陽電池、液晶TVのように、No.1しか生き残れない時代からNo.1でさえ生き残れない時代になった。昨日までの価値観は捨てた方がいい。弊社のように従業員が10名しかいない企業が、半導体を製造するということ自体常識外れだが、好業績の理由は、常識に囚われず環境に適応して来たからだ。過去の成功体験や、教科書通りではうまく行かない。

弊社もアベノミクスの恩恵に預かり、NEDOのベンチャー向け予算の採択が決定し、次の飛躍に向けた準備を着々と進めつつある。補助金はありがたい。なぜなら、本来、研究開発費は、税金を納めた後の利益(純利益)で賄う必要があるが、補助金は、国がそれを肩代わりしてくれる。わかり易く言うと、40%の法人税を考慮すると、研究開発費6千万円を国が補助するということは、企業が1億円の純利益を計上したのと同じことになる。これで勝てなかったら死ねと言われているに等しい。このような政府支出を考慮すれば、法人税40%というのは決して高くない。

弊社の累積損失は最高で11億円を超えた。この支出を賄ったのはVCのリスクマネーだ。勇気あるVCなくして今の弊社は存在しない。研究開発型ベンチャーの場合、売上がゼロなのに、研究開発による損失だけが毎年積み上がる。先の見えないトンネルを掘るような状況だ。それも、先が抜けていればよいが、地下に向けて掘れば貫通しない。たとえ貫通したとしてもビジネス上の成功をもたらすとは限らない。

株式市場の盛り上がりとは裏腹に実体経済は世界的に厳しい。特にLED業界において今後、海外の大手LEDメーカーの再編が加速する。即ち、経営が悪化しているメーカーの倒産、合併が進む。ブームでグリーンテクノロジーとモテ囃された時代は終わった。

一方で、この苦境を乗り切ったメーカーには大きなチャンスと言える。氷河期に恐竜は絶滅し、代わって小動物の時代が訪れた。これからの製造業は、大量生産から多品種少量生産に移行する。川上の原材料メーカーはコスト削減のために大手数社に集約され、川下は小規模化すると予測する。その理由は、市場の飽和と資源問題、そして、製造設備の小型、低コスト化、更に消費者の趣向の多様化である。多様化を可能にしたのはインターネットである。

いつの時代にも、新しい生態系に順応した者しか生き残れない。

平成25年06月10日

第13期定時株主総会を控えて

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