Chapter 84
4月は消費増税の影響が心配されたが、最終ユーザーが海外ということもあって好調な出足となった。昨期落ち込んだ影響もあるが、対前年100%増の強気の売上目標をあっさりクリアした。今期以降、水俣条約の影響で大幅な増収増益を見込んでいる。前章で述べた通り状況を悲観的に分析し、成すべきことを成し遂げた成果が出始めている。4月に売れたのは従来からの製品だが、今後はハイパワー品が増えると見込む。性能、コスト、信頼性は言うに及ばず、様々な技術的サポート、関連情報の提供といった総合力で価値を提供する。製品の性能を100%引き出すための使用条件は何か?LEDでは当たり前、我々が常識と考えていることが、意外と知られていないので驚くことも多い。
さて、先日LED照明推進協議会が10周年を迎えた。LED半導体が従来の照明の代替として応用されるために必要な発光効率が100ルーメン/Wと言われ、その実現に向けて努力した結果、研究開発では効率限界231ルーメン/Wという報告もある。また、発売当初は、価格が高過ぎると指摘されたが、特許切れに伴う新規参入の影響もあって価格も下がり、今やLED照明の普及率が70%を超えた。今後は、LED市場の需要が頭打ちになり、金額は減少に転じるとされている。成長産業とされたLEDもコモディティ化した。
半導体業界の競争の激しさは、他の産業と比較して超絶だ。なぜ、この業界はこれ程競争が熾烈なのか考えてみた。それはムーアの法則という急激な成長を宿命付けた呪文の影響もあるが、半導体製造装置メーカーが大きく関係している。半導体は、人間の手では不可能な原子の結合を促したり、微細な加工をコンピュータで制御して行うので、職人の熟練の技を必要としない。即ち、知財は別として、半導体を作りたければ製造装置を買ってボタンを押せばいい。従って、老舗であろうと性能と価格が新興メーカーに劣れば負ける。車などと違ってデザインや使い心地といった感性的差別化は図られず、ただ単に性能と価格で勝敗が決まる。製造装置メーカーは、最新鋭の装置を競って開発し、毎年のように以前の性能を上回る装置を提案する。従って、最先端の製品を作り続けるためには最先端の装置を買い続けなければならない。結局、最後は資金力で勝敗が決まる。
日本は、LEDに関しては未だに世界トップの地位を確保しているが、産業的には成熟期を迎えたことからすでに活気を失っている。
そのような状況に於いてUV-LEDは未だにニッチな分野であり、我々のようなベンチャー企業でも競争力を発揮できたが、多くの大手LEDメーカーが参入機会を伺っている。先日の展示会でも来場者の半分は偵察だった。前章でも記述した通り、弊社は盤石と思える迎撃態勢を敷いたので、何ら恐れてはないが、油断大敵。特に知財の侵害に対しては提携企業と連携して厳しく対処していくつもりだ。
平成26年05月15日
戦いの幕開け