Chapter 88
ついに88章に到達した。88と言えば四国お遍路八十八か所と同じ数字。ある種の上がりという意味合いも含まれる。空海の開いた四国霊場は開創1200年を迎える。
空海の曼荼羅とスティーブ・ジョブズのアイコンにはビジュアル的編集能力に共通点があると指摘するコラムがあった。確かに空海のお遍路が1200年もの長きに亘り人々に愛されてきたのは、真言密教の難解さを曼荼羅でビジュアル化したことや、万人受けする巡礼イベント化としたことが大きく影響したかもしれない。
ベンチャービジネスで最先端技術は儲からないという常識があるが、これは間違っている。確かに初めのうちは高度な技術を駆使して作るので量産できず製造コストが膨大になる。しかし、最先端技術は時間経過とともにコストが下がり、機能とコストの分岐点を超えると爆発的に需要が増える。だから最先端技術開発は儲かると言うべきだ。
先週、茂木経済産業大臣と四国の経営者が面談させていただいたのだが、国も地方の中小企業強化に真剣に取り組もうとしていることが伺えた。
中小企業は大企業の黒子的役割を演じている。大企業の中核技術は中小企業に依るところも大きい。弊社のUV-LEDを銀行ATM用紙幣識別装置に採用した製品は高い信頼性を武器に輸出が好調に推移している。
UV-LEDは、ちょうど機能と価格の分岐点を超えた地点にある。今後、樹脂硬化、UVインク硬化、露光、探傷試験その他、紫外線(水銀)ランプの代替需要が見込まれる。消費電力を7割削減、寿命は20倍以上、オンオフの制御も簡単で装置もコンパクトになる。産業用に消費される紫外線ランプを全てUV-LEDに置き換えれば、原子力発電相当量のエネルギー消費を削減できる。既に昨年の水俣条約において東京五輪開催の2020年までに水銀全廃の方向性は打ち出されている。日本は、世界に先駆けて水銀全廃を発信したい。
日本のこれからの産業政策を考える場合、産業集積には必然があり、日本が置かれた特殊な環境の中で最適なビジネスを生み出して行くしかない。日本は開放的かつ規制が緩いシリコンバレーにはならない。そのように考えれば、日本が他の国々と大きく異なる点として、原爆投下と原発問題という運命的な悲劇は避けて通れない。また、アジア、単一民族、狭い国土、少子高齢化、厳しい労働法制、その他規制も鍵になる。
これらキーワードから国力を維持するために必要なものを挙げると、原子力に頼らない発電・省エネ技術、環境を守る・汚染しない環境技術、農業高効率・高付加価値化、長く働くための医療、介護の世話にならない健康管理、労働力不足を補う(ロボット等)技術、高齢者を活用した効率的社会システムの構築が挙げられる。
今後、これらは世界の共通課題になる。今日本が抱える問題を丁寧に解決していけば日本のビジネスが世界の手本になる。
平成26年08月08日
日出ずる国Nippon!