ナイトライド・ニュース
一般照明やBLU向けには、波長405nmの近紫外LEDチップで赤・緑の蛍光体を励起して白色発光させたものが、高演色用途に採用され始めている。既存の白色LEDは青色LED+YAG蛍光体、もしくは3in1(RGB3色LED)タイプが主流であるが、前者は青味が強く演色性が低い、後者は高価格といった課題がある。近紫外LEDは、これらの課題をクリアする製品として注目を集めている。
工業・産業向けには、UVインクの硬化や殺菌、紙幣識別機などが見込まれる。現在これらに搭載されているUVランプは交換頻度が高く、ランニングコストの高さが課題だ。同分野を紫外LEDに置き換えたいという需要は高い。
しかし、紫外LEDのエピ成長技術は非常に難しく、青色チップに比べて高価なうえ、高出力化も発展途上にある。技術的な課題を積極的にクリアし、市場開拓に取り組むチップメーカーはまだ少数で、顧客ニーズに対応しながら拡大機会をうかがっている、というのが現状だ。
ナイトライド・セミコンダクターは、世界で初めて紫外線LEDの量産化技術を確立した産学連携ベンチャー。主に紙幣識別機向けに導入を拡大し、国内大手紙幣識別機メーカーほぼ全てに納入実績を作った。紫外線LEDを用いた紙幣識別機は欧米・中国で需要が伸びており、このほか電子部品やネイルなどの樹脂硬化用途にも採用が増え、光触媒による空気清浄機にも採用され始めている。
新たな用途はUVキュア。UVインクは図鑑、美術書などに用いられ、硬化には大きな紫外線ランプが使用されるため、家庭用プリンターには使われていなかった。紫外線LEDは小型で低消費電力のため、一般家庭向けにもUVインクの使用が可能となる。
また、紫外LEDでRGB3色の蛍光体を励起して白色を発光させる白色LEDも開発。同製品はRa90以上の高い演色性を持ち、蛍光灯とほぼ同等の光が再現できるため、液晶BLUや照明用に用いられている青色ベースの白色LEDを凌駕するという。10年夏ごろからサンプル出荷の予定で、当初目標は月産3000万個。