ナイトライド・ニュース
光変換も最高水準
量産化で価格10分の1
紫外線LED専門メーカーのナイトライド・セミコンダクター(鳴門市)は、同社の従来製品に比べて3倍以上の高出力の紫外線LEDを開発した。電気を光に変換するエネルギー効率にも優れ、同社によると、量産品としては世界最高水準の高出力・高効率を実現。液晶パネルやハイテク機器など幅広い分野への応用が期待できる。価格も10分の1程度に抑えており、4月上旬からサンプル出荷を始める。
開発した製品は、縦横最大各2.2ミリの大型LEDチップを1個搭載しているのが特徴。波長380ナノメートル(ナノは10億分の1)で最大3200ミリワットの出力を有するタイプと、400ナノメートルで最大3200ミリワットを出力するタイプの2種類がある。
ナイトライド社によると、高出力紫外線LEDは各メーカーとも一つの土台に複数のLEDチップを載せることで、出力を上げている。同社でもこれまで25個のチップを載せたタイプを販売してきたが、この製品よりも3倍以上の高出力で、光変換効率も35%以上と上回っている。
LEDの出力はチップの面積に比例するが、大きくすればするほど熱がこもったり、電流が均等に流れなかったりして効率が落ちる。今回、結晶の品質を高めたほか、熱を効率的に外に伝える構造を採用。電流が均等に流れやすい電極の配置も採用して問題を解決した。
量産技術の向上で、1個当たりの想定価格は千円程度(10万個生産の場合)と、コストダウンも実現した。
紫外線LEDは、センサーをはじめ、医療用、樹脂加工用といったハイテク機器などに応用できる。樹脂加工用機器では光源として安価な水銀ランプが主流を占め、価格面が紫外線LED普及の障壁となっていた。
研究開発では、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けた。
村本宜彦社長は「電力各社が電気料金値上げを発表した中、省エネで長寿命のLEDへの切り替えが期待できる。誰にもまねのできない最先端の技術だ」と話している。