Chapter 172
世にも不思議な日本の医療体制の話。感染拡大が治まる気配はない。若者達は、もう我慢の限界ということだろう。一度しかない青春の貴重な時期を自宅や下宿で過ごせというのは無理な気がする。遊びも、恋愛も、若者の特権、受験勉強から解放されて、晴れて大学入学となって、同級生や先輩とさえ会えない学生生活は悲劇。運が悪すぎる。手本を見せるべき大人がルールを守らなければ、若者がおとなしくしている理由はない。
それにしても、ずっと引っ掛かっているのは、昨日の重症者数過去最多1230人とのこと。日本の医療体制は、人口約1億26百万人に対して、たった1230人で逼迫するのか?減少傾向が続く交通事故の負傷者数は、昨年、約36万8千人なので、単純計算で1日平均約1008人。交通事故による死亡のピークが、1970年の1万6765人なので、コロナによる死亡者数累計1万5315人を上回る。1970年と言えば、半世紀以上昔の話。日本の高度経済成長期、大阪万博で「こんにちは~♪こんにちは~♪」とイケイケどんどん、急速なモータリゼーションに伴って、交通事故が激増、第1次交通戦争と呼ばれ、車の安全性が社会問題となった。単純計算で、1日当たり、実に45人の方が命を落とした。交通事故による重症者数の記録がないので、明確なことは言えないが、医療体制逼迫の議論があったのかは不明。日本の社会保障制度を含む医療体制の充実ぶりは、世界的にも高く評価されている。
新型コロナの影響で、高齢者のインフルエンザ、その他の病気による死亡率が下がり、平均寿命が伸びたと言う報告があるということは、これらの病気での入院患者数も減ったと推測できる。いずれにしても、昨年は、許されたかもしれないが、1年間の猶予があって、逼迫するのはなぜか?相変わらず医療体制の偏り、一部の医療機関に皺寄せが行っている事が推測できる。
昨日のコロナ感染重症者数は、解り易く表現すると10万人中1人。感染者数は、100人中1人。私が、仕事上も含めて、連絡を取る全国の知人の中で、本人、若しくは、知り合いが感染、ましてや重症化したという人が1人もいないというのは、数字からも理解できる。更に、死者数の19人/日は、確率15/1000万。数値をわかり易く説明するために不謹慎との批判を恐れずに比較すると、宝くじで、1等5億円が当たる確率1/1000万なので、その15倍、飛行機に乗って墜落死する確率1/486万の7.5倍でしかない。これらの数字は、日本の医療技術の驚くべき高さを表している
昨年はPCR検査体制が不十分だったので、隠れ感染者が多くいるとされたが、流石に、今はさほど多くないだろう。感染力の強いデルタ株を発症したインドでは、感染者数が5月のピーク時、38万人/日に達した。死者数は、累計約43万人に上る。人口13億6千万人なので、日本の約10倍として、日本の感染者数換算で3.8万人/日、死者4万3千人に相当する。日本の重症者や犠牲者の数が圧倒的に少ないことは医療技術の高さを表しているが、病床数が不足している原因は何か?病床数が増えなければ、若者の青春は取り戻せない。
令和3年8月11日
日本の医療体制逼迫の怪