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ナイトライド・ストーリー

Chapter 51

民主党の内輪もめが終わり、そういえば、うちも、そんな時期があったなあと思い返した。弊社では、結局意見の合わない者が去った。傍目には、大事な時に何をやっているんだと見えるが、避けて通れない道、意思統一のために必要だった。組織の強さは、ピラミッドの強固さで決まる。従って、管内閣の組閣次第では、内輪もめが無駄になる危険性を孕んでいる。

最近の政権は、政策が積極的に支持されるということではなく、消去法で決まる。首相がコロコロ変わった自民が消去された衆院選。無意味なばらまきの挙句、増税を切り出した民主が消去された参院選。今度は、金の問題で小沢氏が消去された。

この経緯を冷静に分析すれば、自民、民主いずれの政策も、国民から支持されていないことがわかる。支持されない理由はなぜか?それは、国会議員が国民全員の代表としてではなく、一部の国民の意見代表だからだ。すなわち、小選挙区比例代表制の弊害だ。政治家は、自らの支援団体のご機嫌取り政策にしか興味を示さない。普天間の問題にしても、沖縄の皆さんにはお気の毒だが、国益を考えれば、どこかの地域が犠牲にならざるを得ないし、歴史を考えれば已むを得ない。それを海外に押しつけようなどという身勝手が許される筈がないし、そんなことをすれば日本人の尊厳にも関わる。そのことを、丹念に説明し、説得できる政権が必要だ。


今のすべての日本人に蔓延する、嫌なことは他人に押し付けて、自分だけ楽しようという風潮を改めなければ、日本は良くならない。道路わきに捨てられたゴミに象徴されるが、福祉にしても、本来面倒を見るべき家族が義務を逃れて国に押し付けることは許されない。国が面倒を見るのは、身寄りのない身体障害者、お年寄りに限られるべきだ。それを、一律に全て国が面倒を見る制度にすれば、税金をいくら納めても足りない。そもそも、介護制度が始まる迄は、介護は家庭の問題だった。自分の親でも嫌だと思うのに、どうして他人が介護できるだろう。

国民が、自分に都合の悪いことを国のせいにするのを止めなければ国はよくならない。昨日の為替介入は取り敢えず成功したが、円高の流れは変えられない。結局は政府の介入ではどうしようもないということがわかる。国としては、何とかしろという経済界の要望に応えた形だが、結局は、企業が円高に耐えられる体制を整えるしかない。 リーマンショックからこの10月で2年を迎えるが、世界的な不況が深刻の度を増している。各国政府の景気刺激策は、もう弾切れになった。所詮、バラマキの効果は、一時的だ。それでは、本格的に景気を回復するために何をすべきだろう。

私は、日本の不況は、リーマンショック以前に政策不況だと思う。すなわち、小泉政権以降の規制緩和の流れが逆行し、所得格差是正の名の下で規制が強化されたことによって経済が停滞し始めたところをリーマンショックが襲った。リーマンショックの影響が大き過ぎたために、規制強化による景気後退の影響が見過ごされた。結果、所得格差は更に広がった。それは、豊かな階層が落ちた以上に貧しい階層が職を失うなど更に落ちたからだ。

2000年以降の日本の経済情勢を説明するのに、ベンチャー企業を例に挙げるとわかり易い。


一世を風靡したITベンチャーの多くは、ダイヤルQ2の残党。すなわち、NTTの新情報サービスに便乗し、いかがわしい電話応対で稼いだ小銭で、シリコンバレーのビジネスモデルを真似した連中だ。Q2が下火になり、今度は、携帯電話を販捉するインセンティブで規模を拡大した。結局のところ、これらは通信の規制緩和に便乗したベンチャーということである。便乗ビジネスモデルは、ベンチャー企業に限らない。携帯電話端末を製造する大企業は、端末開発費をNTTから支給されている。だから、日本の携帯端末は、海外で売れない。

また、一時期流行った英会話は、外国人講師の雇用に関する規制が緩和され、職業訓練の名の下に国から授講料が補助されたことによって急激に伸びた。また、介護ビジネスは、介護保険制度の実施、人材派遣会社は、労働法制の緩和で伸びた。これらの企業の栄枯盛衰は、不祥事を起こした企業名を挙げるとわかり易い。光通信、ライブドア、グッドウイル、ノバと言えば、記憶が蘇る。2000年代の前半、規制緩和によって、これらの分野への新規参入が相次ぎ、ベンチャー企業は規模を拡大した。日本から世界的なベンチャー企業が生まれないのは、このような日本独特の温室構造に由来する。ところが、2005年以降、その流れが逆行する。国が各分野で一斉に規制を強化したのだ。一部の不届きな企業が、制度を悪用したため、社会問題となり、政府も放っておけなくなったのだ。新興株式市場も、その一つだが、法令順守、内部統制等、当たり前のことに膨大なコストが要求されるようになり、上場することは背任行為と言えるほど上場メリットがなくなった。

従って、景気を良くするのは簡単だ。これらの強化された規制を緩和すればいい。しかし、ただ緩和すると、以前のように社会問題が発生する。そこで、問題が起きた場合の責任の所在を明確にし、罰則規定を強化する。たとえば、株式上場に関して言えば、粉飾決算、インサイダー取引等違法行為に関する刑事罰を厳しくする。終身刑とわかっていて、犯す経営者はいない。

管政権には、日本の50~60年先を見据えて、今の子供が老人になって、日本人として幸せだと思える社会の実現、具体的には、規制緩和による小さな政府で国民の最大幸福を目指して欲しい。

平成22年9月16日

管民主党政権の新たな船出にあたって

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