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ナイトライド・ストーリー

Chapter 52

米国オバマ、菅民主党政権、いずれもビジネス音痴が災いして、世界情勢はアンバランスな難しい局面に突入した。こういう時代には、経営センスのある政治家が期待される。


冷戦の終結によって共産圏の脅威が去り、資本主義が最善のイデオロギーかと思いきや、拝金主義に陥ってバブルがはじけ、世界不況に突入。社会主義傾向が強まるかと思いきや、国家の財政難で頓挫した。各国は、表向き協調精神をアピールするものの、自国通貨安競争で、保護主義に向かっている。絶好調を演出するのは、資本主義の振りをした共産主義であり、真偽の程は定かでない。主導的立場にある筈の日本は、なす術なく愛想笑いを浮かべるだけ。円高を阻止するなら、為替介入は、最も愚かなやり方だ。アメリカ同様、紙幣を増刷すれば紙代とインク代だけで済み、デフレを食い止め、景気を回復できる。

このような時代の会社経営は難しいように思われるが、冷静になって考えて欲しい。我々の生活が以前と比べて大幅に変わっただろうか。確かに、旅行、外食の回数は減り、服もブランドがユニクロ、車も低燃費型に変わった。しかし、相変わらず、TV、携帯、冷蔵庫、洗濯機等は、耐用年数を迎えると買い替えなければならない。


つまるところ、リーマン・ショックは、金融機関の過剰な融資によって、本来ない筈の需要が積み上がり、それが不良債権化したため、金融機関がお金を回収できなくなったに過ぎない。結局、不良債権は、国が税金で補填した。トランプのババ抜きと同じで、誰かがババを引かなければゲームは終了しない。結局、ババは国民が引かされた。ババを将来に永遠に引き継いでいくことは、理論的には可能かもしれない。世界中の人々の生活水準が同じで、一定のインフレ率を維持できれば理論的には可能だが、そんなことはあり得ない。労働力豊富な新興国が安い原材料と労働コストで、製品を供給するから先進国はデフレになる。デフレが農作物等の第1次産業に限られた時代は、まだよかったが、第2次産業それも家電、半導体といったように先進国の縄張りが侵害されるようになり、先進国の不況が深刻になった。日本の半導体だって20年前米国からダンピングと堤訴された。したがって、この流れを変えることはできない。そもそも、先進国が新興国で製品を作っている。


それでは、どうしたらよいか?その解決方法は、イノベーションしかない。人類は、常に先端技術によって、新しい需要を創造してきた。先進国は、イノベーションを起こす技術の開発に本腰で取り組まなければならない。新興国の経済発展は、マーケットの拡大という意味で大いに歓迎すべきことであり、むしろ、新興国で作れるような時代遅れの製品に固執していることに問題がある。そのような産業は、空洞化して当然だ。

弊社は、世の中がバブルに沸いていた時期、研究開発とアプリケーション開発で、厳しい毎日を送っていたが、リーマン・ショック以降、売上、利益とも増加しつつある。革新的技術には、新しいマーケットが存在する。今の不況は、金融バブルで膨れ上がった需要先食いの反動減に過ぎない。従って、ある程度の時間が経過すれば、需要が適正水準に回復する。しかし、もう安売りパイの奪い合いでは、新興国に勝てない。以前、中国に旅行した知り合いから偽物ロレックスをもらって、最初は喜んで着けていたが、本物をしている人が飛行機の隣にいて、恥ずかしい思いをした。本物の素晴らしさを見てしまうと、偽モノは偽モノでしかない。消費者の安モノ買いは、一時的な現象に過ぎない。結局は本物が欲しくなる。


私は、日本人の几帳面さは、国際競争上最大の武器だと思う。最先端技術とは、巧みの技のことを言う。半導体製造の世界でも、そば打ち名人が、気候、天気で打ち方を変えるのと同じだ。こういう肌理細やかさは、日本人にしかない。必ずや日本製が見直される時代が復活する。米国製の大型バイク、ハーレー・ダビッドソン、エレキギターのギブソン等、米国ブランドでも、ブランド価値を維持している製品はいくらでもある。こういう時代は、攻めることも重要だが、耐えることも重要だ。じっと耐え続けることで、また復活のチャンスが巡ってくる。

米国中間選挙の主役共和党ティー・パーティは、中小企業主、商店主が中心となって、小さな政府、自立を呼び掛けて大勝した。米国の政治システムの優れているところは、国民が方向性を修正できる点だ。オバマ大統領に景気回復能力、社会保険制度の財源確保策がないと見るや、即ノーを叩きつけ、方向修正を迫る。日本のように誤ったマニフェストが修正されず、失言の挙げ足取りに終始するような政治システムとは異なる。政権交代、首相の首のすげ替えを繰り返すのではなく、現政権が誤ったマニフェストを改める政治を行って欲しい。

日本は、北欧のような重税の福祉国家を目指すのか、米国型の小さな政府、自立型国家を目指すのか、方向性を明確にすべき時だ。

平成22年11月22日

米国中間選挙の共和党圧勝に感じること

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