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ナイトライド・ストーリー

Chapter 90

青色LEDの研究がノーベル物理学賞を受賞したことは、窒化物半導体に携わる多くの研究者、大学、企業に朗報となった。私のところへもコメントを求めるマスコミからの電話があり早い段階で受賞を知った。弊社の社名を直訳すれば窒化物半導体株式会社になる。徳島大学は、青色LEDの開発で先駆的役割を果たした。徳島県にある大手LEDメーカーと同大学には酒井士朗教授が設計した同一の結晶成長用MOCVD装置が各1台ずつ導入され二人三脚で開発が進められた。中村修二氏は、この装置をツーフローに改造して93年青色LED、95年に青色レーザーの開発に成功した。

徳島大学は97年、サテライト・ベンチャービジネスラボラトリーの認定を受けて、鉄筋4階建て、クリーンルームと最先端の電子顕微鏡や分析装置を備え、結晶成長からチッププロセス加工、更にパッケージに至る迄一貫してLEDの開発が行える世界最先端の研究施設に、海外からも多くの研究者を受け入れた。ここで学んだ大学生や企業研究者は、青色LEDの開発、普及に大きな貢献を果たした。

2000年以降、中村修二氏の渡米、発明の対価訴訟、特許紛争等、何かと賑やかだったが、月日の経過と共に、最近では話題にも上らない状況だった。業界専門誌が主催するLEDセミナーは、かつて大ホールを埋め尽くしたが、最近では青色LEDでは人が呼べないということで、UV-LEDの講演に切り替わった。

青色LEDがコモディティ化したこと自体は悪いことではなく、家庭用に安価なLED照明が普及し、多くの人々がその恩恵に浴することができる。窒化物半導体の研究は今でも盛んに行われ、更に波長の短い深紫外LED、携帯電話の基地局で使用される超高周波半導体、そして電気自動車や発電所の効率を高めるパワー半導体といった開発は今でも続いており、今回の受賞で技術開発に弾みが付くことが期待される。

波長の比較的長いUV-LEDは、発光効率が50%を超え、今後も更に上昇する。UV-LEDの技術は青色LEDと同じ窒化ガリウム半導体の延長線上にあるので、ノーベル賞をもらうことはないと思うが、照明等発光素子としては、最終的に全てUV-LEDになるだろう。

スマホ、エコカー、エコ家電等は、最先端技術の集積である。しかし、これらの最先端技術の中でノーベル賞の受賞は滅多にない。そのように考えれば、そのような技術開発に携わることができることは幸運なことである。

また、些細なことだが、弊社が業界専門紙3紙に設立後初となる全5段広告を掲載した10月8日(水)が、奇しくも受賞を伝える記事の掲載日と同一というのは、あまりにも出来過ぎた偶然と言える。ビジネスには努力だけでなく運も必要とつくづく感じる。

私は敢えて、受賞こそしなかったが、実際にはそれに勝るとも劣らない貢献をした多くの窒化物半導体研究者の皆さんの貢献を讃えたい。

おめでとうございました。皆さまにもノーベル賞と同等の価値があると思います。

平成26年10月14日

ノーベル物理学賞受賞を陰で支えた研究者の皆さまへ

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