Chapter 91
最近の景気動向を見てみると、消費増税による消費減というよりも、駆け込みの反動による影響が大きいように推測する。今後の焦点は、消費税を10%に上げる時期を先延ばしするかということだが、勘違いしてはいけないのは10%にしても十分ではないという現実である。10%以降も更に上げていく必要があるのだから、先延ばしの弊害は大きい。遅らせたことによる歳入の不足分と、遅らせたことで税収が有利になる根拠を示す必要がある。大企業経営者や大学教授で、もっともらしい理由を挙げて増税に反対する意見もあるが、穿った見方をすれば、目立ちたいだけか、自らの無能の責任を政府に転嫁しようとしているようにしか見えない。
会社経営に於いて、問題の対処は早いに越したことはない。問題を先送りして状況が改善することはない。政治というのは人気投票だから難しいかもしれないが、50年先の日本を考えている40歳以上の成人が何人いるだろうか?自分が死んだ後の日本より、今の生活を優先するのは当然のことであり、少子高齢化の日本で多数決を取れば、若者に不利な結果になる。
そのような状況で、衆議院の解散、総選挙によって国民に判断を委ねるのは無責任な行動ではないか。消費税を増税する一方で、歳出を減らし、何としても次世代に負の遺産を残さないという強固な意志を示すことが重要と思う。
高齢の母に対する癌告知と終末期医療を目の当たりにして、医学的処置と人の幸せに疑問を感じた。将来ある若者と高齢者に対する処置は同じである筈がない。若者が助かる確率が高くなるような配慮は当然必要となる。こういう厳しい選択は現場レベルでは難しい。
増税すれば景気が悪化するという事は誰が考えても明らかなのだから、たとえ本当に消費が落ちていないとしても、無理やり増やすような操作があったことは確かだ。そのような無理な状況は継続しない。だから、消費が落ち込むことを是として、歳入が減る前提で歳出計画を策定し、将来、負担にならない対策を限られた予算の中で打たなければならない。国内消費が落ち込むのであれば、企業は生産を控えるか海外に販路を見つけるしかない。弊社は昨年度、競争激化を予測して販売価格を大幅に下げたことで、僅かながら赤字に陥った。しかし、その厳しい現実を受け入れ、販売価格が半値になっても採算が合う体制を整え、積極攻勢に出たことで販売数量が増え、今期は過去最高の売上と利益を見込む。このように常識的には無理と思えることでも、知恵を絞ればなんとかなる。逆に、値下げをしていなかったら、他社に売上を奪われ、今頃倒産していた。
国民一人当たり約800万円、家族4名として3200万円という家一軒程の借金を何年間でどうやって返済していくのか、国民が真剣に考え、行動しなければならない。景気対策、インフラ整備、ゴミ収集も含めて、国と地方におんぶに抱っこという状況はもう限界に来ている。若者の、若者による、若者のための政治が必要かもしれない。
平成26年11月13日
若者の、若者による、若者のための政治